「死という眼鏡をかけて」歩いてきた詩人。
村上昭夫の詩「五億年」
村上昭夫の詩集『動物哀歌』をはじめて読んだとき、震えた。
動物たちの姿を通して、地上や宇宙の果てにまで触れてしまう、詩人の澄み切った目と耳の言葉に。
詩に描かれているのは、この世の日常の風景を超えた、新鮮な生と死の世界だった。読み進むほどに、こちらの視界からも雑音が消えてゆき、生きものの命の奥に潜む痛苦の根源を覗いている気がした。
ねずみを苦しめてごらん
そのために世界の半分は苦しむ
ねずみに血を吐かしてごらん
そのために世界の半分は血を吐く
そのようにして
一切