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大学授業一歩前(第133講)

はじめに

 今回は行動経済学がご専門の後藤晶先生に記事を寄稿して頂きました。お忙しい中の作成ありがとうございました。是非、今回もご一読下さいませ。

プロフィール

Q:ご自身のプロフィールを教えてください。

A:行動経済学ゆるゆる配信([http://papalaka.com/yuru/yuru.html])の出演者の一人,明治大学情報コミュニケーション学部教員の後藤晶です.
 明治大学情報コミュニケーション学部専任講師,中央大学総合政策学部卒業,明治大学大学院情報コミュニケーション研究科博士後期課程修了,博士(情報コミュニケーション学).明治大学情報コミュニケーション学部助手,山梨英和大学人間文化学部助教,多摩大学経営情報学部専任講師を経て現職.
 学生時代には全国の「総合政策学部」の学生が集まるイベント,「政策・情報学生交流会」に参加して総代を務めたりしていました.その頃の学びが現在の研究に繋がっているように思います.
 他にも,自身の出身チームでもある宮前パワーズという少年野球チームの選手と勉強をする「寺子屋」を運営したりしていました.

オススメの過ごし方

Q:大学生にオススメの過ごし方を教えてください。

A:学生時代にはさまざまなことにチャレンジすることをオススメします.個人的に感じているのは,社会人になると,大学生よりも「一つの失敗」のダメージが大きいように思います.
 そのために,学生時代はどこまで失敗していいのか,もしくはどこから失敗してはいけないのか「肌感覚」で学ぶ機会にしてもらうといいでしょう.私は山ほど失敗してきました.
 また,様々な価値観に触れて「見聞」を広げることを意識して欲しいとも思います.いろいろな人とコミュニケーションを取ることで,自身の中に存在するバイアスに気付けると成長への第一歩となるのではないでしょうか.

必須の能力

Q:大学生に必須の能力を教えてください。

A:何が「必須」と言われると難しいのですが,まずは「悩むこと」からは逃げないようにしてほしいです.何かと「めんどくさい」の一言で逃げてしまうことが多いのですが,どんな困難も簡単には逃げ出さず真摯に立ち向かい,問題解決を図ろうとするマインドは持ってほしいと思っていま(まぁ,もちろんそれでも逃げ出す時は逃げ出すべきですが.笑)
 その上で,個人的には「ロジカルシンキング」や「クリティカルシンキング」,「フレームワーク」といったスキルを学んでおくと良いと思っています.大学という空間は究極的にはロジカルシンキングやクリティカルシンキングの能力を高める場所だと思っているのですが,そのためには具体的な手法を知っておくと良いでしょう.

学ぶ意義

Q:ご自身にとっての学びの意義を教えてください。

A:ここでは研究から離れて,一般的な私にとっての学びの意義を説明したいと思います.
 一言で示すならば「未知との遭遇に備えた準備」と言ったところでしょうか.我々は日常の生活の中で何らかの意味で新しい出来事に出会っています.同じような意思決定を下しているようであっても,実は状況が微妙に違ったりしています.そのような場合,必ずしも同じような意思決定を下すことが正解とは限りません.
 また,今までの日常では経験したことがないような事態に遭遇することもあるでしょう.新型コロナウイルスの蔓延もまさにその一つです.
 そのようなまさに「未知との遭遇」をした時にどのように意思決定をするべきなのか,賢い意思決定を下すために学んでいると言えるでしょう.

オススメの一冊

Q:オススメの一冊を教えてください。

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A:色々あるのですが,まずはハーバート・サイモンの『**システムの科学**』を紹介したいと思います.少しホネのある本なのですが,人工物と環境のあり方について考えるヒントになりました.
 そこから,我々の社会における(公共)政策は人間達が作り上げたもの,であるにもかかわらず政策は必ずしも個人にとって良いものであるとは限らないのはなぜだろう?もしかして人間が人間のことを知らないからではないかなどと考えて,行動経済学の道に進んだと言う経緯があります.

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また,行動経済学に関連するとカーネマンの『NOISE』上下巻は『ファスト&スロー』上下巻を超えた名著なんじゃないかなぁ,と感じています.
 もちろん,『ファスト&スロー』も良い本ではあるのですが,『NOISE』の方が面白いです.

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 国内では,『今日から使える行動経済学』(山根承子,黒川博文,佐々木 周作,高阪 勇毅)や『行動経済学 経済は「感情」で動いている』(友野典男)が取っ掛かりとして面白いように思います.

メッセージ

Q:最後に大学生へのメッセージをお願いします。

A:今はさまざまなことがままならない状況でもあり,なかなか思い描いていた学生生活を過ごせないかもしれません.しかし,与えられた状況をいかに乗り越えるか,ということも大事でしょう.
 つまらなく過ごすよりは楽しく過ごすための方法を一緒に考えてみましょう.
 ついでに明治大学のみなさんへ:情報コミュニケーション学部では行動経済学の授業があります.ちなみに,他の学部では行動経済学の授業は開講されていない(はず)です.3年次では以下の科目で行動経済学について学べますので,ぜひ履修を考えてみてください.- 不確実性下の人間行動(春学期)- 情報と経済行動(秋学期)と,授業の宣伝でした.笑

おわりに

 今回は行動経済学がご専門の後藤晶先生に記事を寄稿して頂きました。お忙しい中の作成ありがとうございました。

そのようなまさに「未知との遭遇」をした時にどのように意思決定をするべきなのか,賢い意思決定を下すために学んでいると言えるでしょう.

 日々、未知と出会い格闘する。そのような学びを私も継続して参ります。次回もお楽しみに!!

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