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大学授業一歩前(第112講)

はじめに

今回は光生物学などを研究してらっしゃる成川礼先生に記事を書いて頂きました。お忙しい中記事を作成して頂きありがとうございました。是非ご一読下さいませ。

プロフィール

Q:ご自身のプロフィールを教えて下さい。

A:私は東京都立大学で准教授をしている成川礼です。東京大学で博士号取得後、研究員・助教として8年間を過ごし、その後、静岡大学で講師を7年務め、この4月から現職に着任しています。学生の頃から、光合成を行う微生物が光を感知する仕組みについて研究し、最近はその研究から発見された光センサー分子を応用利用するための研究にも携わっています。

オススメの過ごし方

Q:大学生にオススメの過ごし方を教えて下さい。

A:私自身は大学時代にサークルなどに属さず、講義ばかりに熱中していたわけでもなく、無為に時間を費やすことも多かったと記憶しています。大学時代には、様々な時間の使い方がありますが、せっかく学費を払っている立場ですから、大学から提供されるものをなるべく享受すると良いと思います。講義や実習に熱中するも良し、興味のある研究室を訪問するも良し、図書室や体育館などの施設を使い倒すのも良し。とにかく自らが楽しむことが大事だと思います。

必須の能力

Q:大学生に必須の能力を教えて下さい。

A:必須かどうかは分かりませんが、主体性・能動性が問われると思っています。高校くらいから徐々に能動的な姿勢が求められるようになると思いますが、大学では特に顕著です。大学の講義や実習は、学生さんが学びを深めるきっかけとしての役割が大きいと思っています。講義で興味を持った事柄について文献にあたり、さらに知見を深めるという営みは刺激的で楽しいはずです。そして、その営みの中で分からないことが出てきたら、講義を担当している先生に尋ねてみましょう。きっと嬉々として話をしてくれると思います。

学ぶ意義

Q:ご自身にとっての学ぶ意義を教えて下さい。

A:研究者になると、いわゆる勉強という形での学びの場は少なくなりますが、研究を推進するためには、常に新しい知見や技術をキャッチアップしていかなければなりません。そのため、折に触れて文献にあたり、自分の知識をアップデートしています。また、自分自身の研究対象以外にも面白い現象が世の中にはたくさんあり、それらを対象としている研究についても見聞を深めることで、自らの知的好奇心が満たされるので、そういうこともなるべくやっています。最近は忙しくてなかなか出来ていませんが。。

オススメの一冊

Q:オススメの一冊を教えて下さい。

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A:サイモン・シン・エツァート・エルンスト著 ・青木薫訳(2013)『代替医療解剖』新潮文庫という本です。代替医療という言葉をご存知ですか?近代ヨーロッパにて実施されていた瀉血という治療行為をご存知ですか?私は本書に触れるまで、瀉血という言葉もその内実も知らず、科学的検証なしで実施される多くの代替医療の存在にも無自覚でした。本書はジャーナリストと大学教員が手を組み、代替医療に真摯に向き合った良書です。研究者が読めば、代替医療の効果を検証する二重盲検法や偽鍼などの実験系の構築のくだりに共感するでしょう。研究者でない読者には、科学的な検証の内実に触れる良い機会となるでしょう。

メッセージ

Q:最後に大学生へのメッセージをお願いします。

A:大学での学びは義務教育ではもちろんありませんし、学費を払った上で大学に通っているわけですから、学びを積極的に楽しんで欲しいと思います。自分の専門からはかけ離れたような学問について学ぶのも楽しいと思います。次のステップに向けて、大学のリソースを最大限に活用して満喫してください。

おわりに

今回は光生物学などを研究してらっしゃる成川礼先生に記事を書いて頂きました。お忙しい中記事を作成して頂きありがとうございました。

自分の専門からはかけ離れたような学問について学ぶのも楽しいと思います。

私自身は経営学部に所属しながら、政治哲学を勉強しており、もう本来の専門から遠く離れた場所にいます。ですが、かけ離れているからこそ、経営学を相対化して見ることが出来ているような気もします。深くそして広く学ぶように心がけていきたいです。次回もお楽しみに!!




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