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大学授業一歩前(第75講)

はじめに

今回は英語関連の本を執筆してらっしゃる佐藤誠司先生に記事を書いて頂きました。お忙しい中記事を作成して頂きありがとうございました。是非ご一読下さいませ。

プロフィール

Q:ご自身のプロフィールを教えて下さい。

A:佐藤誠司(さとうせいし)・プロフィール:東京大学文学部英文科卒(専攻は英語学)。出身地の広島県福山市に在住。地方公務員,中学・高校の英語教員,予備校勤務などの職歴を経て,15年ほど前から英語関連本を執筆するフリーライターとして活動中。PHP,岩波ジュニア新書,旺文社,桐原書店,文英堂,Jリサーチ出版,宝島社,南雲堂などから著作を出しています。英語(ということば)の勉強に興味があれば,『英語のしくみが5日間でマスターできる本』(PHP文庫)をお勧めします。Twitterでも英語関係の情報を発信しています。

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Q:大学生にオススメの過ごし方を教えてください。

A:高校までの勉強や生活とは違って,大学では何を学ぶかを自分で選び,自己責任で行動することが求められます。自分の将来の姿をイメージして,それに近づくための情報を集めたりスキルアップの努力をしたりすることが大切です。私の場合は,(結果論ですが)大学生のとき半年~1年くらい海外での生活を経験しておけばよかったと今でも思います。

必須の能力

Q:大学生に必須の能力はどのようなものだとお考えになりますか。

A:月並みですが,「深く考える力」だと思います。大学を卒業して社会に出れば,目の前の仕事や生活に追われて物事をじっくり考えるのが難しくなります。そうした状況を「まあいいや」で受け流す癖がつくと,将来後悔することになりかねません。勉強でも趣味でも恋愛でも,1つのことを突き詰めて粘り強く考える習慣をつけること。その前提として,ソクラテスが言うように自分の「無知」を自覚し,本を読んで知識の幅を広げることが大切です。

学ぶ意義

Q:先生にとっての学ぶ意義をお知らせください。

A:私は高校生の頃英語の勉強が好きでしたが,「何のために大学に行くのか」を深く考えずに偏差値で何となく受験先を選び,ある大学の経済学部に入りました。しかし実際に学んでみて「自分のやりたい勉強はこれじゃない」と思い直し,1年休学して予備校に通って東大を受験し直しました。勉強の目的は人それぞれであり,大学を就職の手段と考える人もいるでしょう。私の場合は「学びたいこと」を見つけられたのが幸運でした。

オススメの一冊

Q:大学生にオススメの一冊を教えてください。

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A:世の中にはいろんな考え方や境遇の人がいます。そうした世間の広さを知ることが「大人になる」ということです。その観点から,文藝春秋が毎年11月に出版する『日本の論点』という論争誌を読んでみることを勧めます。この本は最新の社会問題(たとえば原発の是非)をリストアップして,代表的な賛成論者と反対論者の意見を掲載しています。物事を広い視野から公平に判断するための思考訓練に役立つと思います。

画像は『文藝春秋オピニオン 2021年の論点100』文藝春秋です。

メッセージ

Q:学生に向けてのメッセージをお願いします。

A:税金を原資とする多額の補助金が大学に投入されるのは,大学卒業生が社会に「恩返し」してくれるという前提があるからです。誰もが大学へ行けるわけではありません。自分が大学に行かせてもらえるという事実に感謝すること。そして,知識と知性を高めること。「知識はあっても思想がない奴は専門バカだが,思想だけあって知識がない奴はただのバカだ」という言葉があります。少ない知識に頼って浅はかな結論に飛びついてしまう「ただのバカ」にならないように。そして卒業後は,自分が選んだ仕事を通じて社会に貢献してください。

おわりに

今回は英語関連の本を執筆してらっしゃる佐藤誠司先生に記事を書いて頂きました。お忙しい中記事を作成して頂きありがとうございました。

「知識はあっても思想がない奴は専門バカだが,思想だけあって知識がない奴はただのバカだ」

知る事で自身の視野を広げることがまず重要だと思います。もちろん思考力も重要ですが、思考という技法を用いるには知識が無ければ、その思考を浅く、薄い通り一遍のものになるでしょう。知識を入れる事もまた重要です。次回もお楽しみに!!




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