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子育てや介護は自己責任?

○安心できる老後や介護ー介護の担い手は?

 私たちの国は長寿の国となると同時に、多くの介護の必要な方がいる、介護大国となりました。老人ホーム・介護施設を利用したいと思っても、公的な施設は待機者がいっぱい、私的な施設はびっくりするほど高額、やむをえず自宅で介護ということが少なくありません。老人が老人を介護する老老介護、女性がひとりで子育てと介護を担わされるダブルケアが大きな問題となっています。
 介護保険の要介護の認定者数は2019年度で669万人。5年前の2014年と比較すると、60万人以上も増えています。
 自分や家族だけでの介護には限界があります。そこで頼りになるのが介護に関わる専門職。2019年度で211万人が働いています。しかし、介護職員はコロナ禍の中エッセンシャルワーカーと言われ、心身ともに大変な状況に追い込まれてしまいました。離職された方も少なくありません。もともと、国は介護職員不足を大きな問題として考え、2023年には22万人の増員を、2025年には32万人の増員が必要としています。(厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)

○介護職員の賃金を抜本的に改善しなければ!

 介護の担い手不足の解消のためには、そもそも賃金が低い介護に関わる労働者の全ての給与の抜本的な改善が必要です。介護にかかわる労働者の平均賃金は、全産業比較すると6万円も低い状況です。

内閣官房公的価格評価検討委員会「公定価格の制度について」2021年11月9日

 今年2月からは最大月9000円(収入の3%程度)の引き上げが実施されています。この賃上げは、所定の条件を満たす事業所に対して賃上げの原資として補助金が交付され、それが従業員の給与に反映される仕組みとなっています。ただ、「介護職員」の場合、利用者や入居者に対して介護をおこなう職員のみが対象であり、同じ施設で働くケアマネジャーやリハビリ職、栄養士・調理師、事務職などは対象外です。
 さらに介護は知識と経験が大切な専門職であるにもかかわらず、長く続けてもなかなか賃金が上がらないという現実があります。
 まずは、賃金を抜本的に改善する必要があります。

○保険料や自己負担も限界

 介護職員の賃金は事業所単位で自由に設定できるわけではなく、介護保険の報酬、つまりは介護保険料とサービスを受けるときの自己負担と連動しています。
 つまり、介護職員の賃金を上げると、介護保険料も、実際に介護サービスを受けるときに支払う自己負担も値上がりする仕組みなのです。実際に2022年10月から負担増になる予定です。

厚生労働省「介護保険制度の概要

 物価高騰で介護の必要な人や家族の負担、これ以上の負担増は限界です!
 そこで、介護保険と切り離した介護職員の給与の改善、あるいは私たちの保険料や窓口負担を増やさず、介護保険の国庫負担割合を増やすなど公費負担の割合と額を変えるしかありません。夏の選挙は、国民の負担を増やさず、安心した介護を安定的に受けられる制度に作り替えるチャンスです。

○介護をめぐる問題について政党の見解

・自民党
全世代型社会保障を推進、介護離職ゼロと謳っているが、介護保険の根本的問題である保険料と利用者負担には踏み込んでいない。

・公明党
12年前に「介護保険のビジョン」を作成し、かなり踏み込んだ提案をしているが、近年は自民党ともに地域共生社会の実現を掲げ、介護問題や介護保険への具体的な政策提案は見られない。https://www.komei.or.jp/policy/various_policies/pdf/kaigoVision.pdf

・日本維新の会
「維新八策2022」では介護現場で働く方の待遇・職場環境改善、介護のIT化などは取り上げているが、それ以上に踏み込んだ具体的な記述は見当たらない。
https://o-ishin.jp/sangiin2022/ishinhassaku2022.pdf

・国民民主党
介護現場で働く者の賃金を上げるということは言うが、自民党と同じく、介護保険の根本的問題である保険料と利用者負担には踏み込んでいない。https://new-kokumin.jp/wp-content/themes/dpfp/files/DPFP-Policies-Pamphlet.pdf

・立憲民主党
ベーシックサービスの拡充、処遇改善のための月10,000円の上乗せなどを求めた「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案」を提出した。

2021年10月、介護保険の情報などを発信しているオフィス・ハスカップへの回答では、かなり介護保険の内容について踏み込んだ提案をしている。

・日本共産党
介護現場で働く職員の処遇改善、利用者負担の減免制度の提案、国庫負担増額など、介護保険制度の具体的課題に踏み込んだ提案がされている。

・れいわ新選組
介護・保育従事者んの給与と全産業平均との差を埋めるため、月給10万円アップを提案。

これら政党の見解以外にも、昨年9月に市民連合の掲げた主張が分かりやすく、また共感できる内容となっている。

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