ファイナンシャル・プランニング技能士
未来を一緒につくる!ファイナンシャル・プランニング技能士
柳澤美由紀(原作)うだひろえ(漫画)・一般社団法人 金融財政事情研究会
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児童書すごいな、こんなジャンルもあるんだな。
図書館で見かけて「へぇーー!?!?」って驚いて借りてきてみました。
えーと…中学生向けの職業紹介本、でいいのかな。推薦の名前に
・全国中学校進路指導
・キャリア教育連絡協議会
とあったので、結構ちゃんとしたところの監修がついてるんかしら。
2015年12月時点の法令や制度に基づいた執筆とありまして、そう思うといまいまで使える情報としてはちょっと古いかな…ただ、生活不安を抱えた中学生が知れて安心出来る情報・説明が多くある良い内容でした。
内容にもありますが、文部科学省の
「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」
https://tobitate.mext.go.jp/
という制度の普及も目的にしているとのことなので、積みたいキャリアによってはかなり勉強・参考になる本じゃないかな。漫画で描かれていてキャッチーですし。誰かのきっかけになればとてもいいですね。
おおまかなお話は、
キラキラした毎日を過ごすぞーと意気込んでいた女の子が中学校に入学したら理想とのギャップで学校に行く意義を失ってしまい、引きこもりになってしまいました。ところがお父さんの病気が発覚し、生活の立て直しをすることになってさあどうしよう!?
助けてくれたのはファイナンシャルプランナーのお姉さん!ああいうかっこいい人にわたしもなりたい!
て感じでしょうか…
かなり要約はしてしまいましたが、これ、ごく普通に誰にでも起こりうる話だし、主人公のお母さんがこれ系によくある出来たお母さんではなく、混乱や不安に派手に動揺して弱音も吐くし、というリアルな描写。漫画の絵柄がざっくりとした簡素めのものなんですが、だからこそ身近感が出てしまってなかなかしんどいシーンもあります。中学生の身でこれ読むと結構ハードというか、心にクるものがあるでしょうね…
主人公の家庭は昔からファイナンシャルプランナーさんの協力をいただいて生活していたようで、まずはこういった「家庭の外の力を抵抗なく借りることが出来る」てだけでも問題の解決が一気に近づくんですよね。家族以外の誰かに話しを聞いてもらって状況が整理出来るってだけでも相当なマージンなので、物語としてスムーズな展開になっているとはいえ、
「どうにかなるぞ」
て安心感を主人公家庭が早い段階で得られたのは大きなメリットですね。さらにそれがファイナンシャルプランナーという資格への理解を深める緒(いとぐち)にもなっていて、よく練られた展開だなーと感心しました。
展開の中で「これいいな」と思ったのは、ちゃんと子供たちも巻き込んで、家の状況やお金のことを共有し、一緒に頑張る土台を作った点です。
昭和の時代はね…子供に金の話をいかに聞かせないかだったからね…あれ、個人的には良くないと思うんだよね…脅かす必要は無いけれど、金の感覚が悪くなるからね…
作品内でも、「大事なもの、お金を確保するべきだと思っている点」が親と子で全然違った、というシーンがありますが、こういった認識合わせ、家族だからこそ大事なんじゃないかな。
あと、ちゃんと子供の目線や意識で綴られているのが共感が持てるし応援したくなって非常に好みです。自分はどういう状況だったのか、知ることで世界がどう変わったか、何をどうしたくて、何をどこまで頑張るのか、など、対策や行動、ゴールラインが具体的です。実際の生活ではなかなかこうはいかない点も多いでしょうけれど、目標の定め方や具体的な計画の立て方なんてすぐにでも真似出来るんじゃないでしょうか。中学生向けですが、大人でも参考に出来る箇所が多くある本だと思います。特にお金問題はかなり現実的な書かれ方してますからね。ライフプラン…わたしは特に無いけれど、目指すものがある人や頑張りたいことがぼんやりとでも見えている人は、ぜひ組んでみるとリソースが絞れてとても良さそうですね。
主人公、ご家族、お友達までもの後日談も描かれていて、めでたしめでたしの結末でした。さらには巻末等にファイナンシャルプランナーの資格についての説明ページもあって、
「そういやちょっと気になっていたのよね…」
て大人の人にも手に取りやすい一冊じゃないでしょうか。ここまでではなくても、「なんかちょっと困ったな」がある人などもぜひぜひ。
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