本のご紹介5
「レナードの朝 」オリヴァー・サックス 春日井晶子 訳
同名の映画原作。映画は脚色がなされているのですが、まあご存じのようにナイアガラ大瀑布必至で。
著者は脳神経外科医で作家。嗜眠性脳炎の症状の形態は広く昏睡、振戦と固縮、緊張性統合失調症、不随意運動、強迫観念、無動(蝋人形のように見える)、幻覚などで知性、想像力、判断力、ユーモアといった高次脳機能は無傷で残る。
「何より私は、この美しい惑星で、感覚を持つ存在であり、考える動物であった。そしてそのこと自体が、とてつもなく大きな恩恵であり、冒険だったのである」
晩年のサックスの言葉である。
記録を取り診療をし患者と向き合う当時点のサックスの熱い人柄、思考の機微の深化をも伝える筆致がこころを打つ。