【ATH】勝つためにあと2か月でやるべき3つのこと

 年が明けてからしばらく経ち、大物FAも市場から徐々に消えつつあります。そんななか、アスレチックスが開幕までにするべき現実的な補強はどんなものでしょうか。優先順位の高いものを紹介したいと思います。


主力級リリーフの獲得

 アスレチックスは例年通り先発の頭数を揃えることに注力する一方、現状ではメジャーレベルでのリリーフの補強は下の記事以降では先日発表されたホセ・ルクラークのみです。

 データサイトFangraphsの成績予測によればアスレチックスの現状のブルペンが生み出すとされるWARは2.5。これは全体20位の数字です。しかしこの2.5のうち2.1はクローザーのメイソン・ミラーが出すとされるもの。すなわち残りのメンバーを合わせたらfWARは0.4ということです。

 fWARはFIPを用いて計算されるので実際の防御率からは乖離するかもしれませんが、あるとすれば打者有利のサクラメントでFIPより悪い成績が残る場合。球場が広いから多少出来の悪い投手でもなんとかなっていたオークランド時代とは話が違うわけです。

 予測時点でfWARが0.4のブルペンというのは現時点でメジャーワースト2位のブルペンでもあります。はっきり言って、もう一人か二人はメジャー契約でリリーフを獲得するべきでしょう。

 ここからは獲得候補となるリリーフを数人挙げたいと思います。

ダニー・クーロム(前BAL)

 クーロムは過去にアスレチックスにも在籍したことがある左のリリーフ投手。日本のファンの皆さんにはオリオールズで藤浪晋太郎と親交があったことで知られているかもしれません。

 オーバースローの技巧派投手であるクーロムは、7年前のアスレチックス時代とはまるで別人かのようなソフトカッターとスラーブ中心の投球スタイルで打者を制圧しています。現在のスタイルになってからはバレル率も少なく抑えられており、サクラメントにも適応できるのではないかと思います。

 一方で昨季は肘の故障で長期離脱しており、健康面には不安が残ります。オリオールズが成績に対しては格安に見える今季の年俸400万ドルの契約オプションを破棄した理由もおそらくそこにあるのでしょう。

 しかし、現在のアスレチックスのような正攻法ではFA選手たちに敬遠されてしまうチームにはこのような欠点のある選手は狙い目であり、ぜひ取りに行ってほしいところです。

スコット・アレクサンダー(前OAK)

 アレクサンダーは昨季もアスレチックスに在籍した左腕です。奪三振能力は決して高くないものの平均90マイル前半のシンカーを軸にゴロを量産するため、打者をきりきり舞いにすることはなくとも基本的に大量失点しないのが持ち味で、便利屋的なミドルリリーフとしての活躍が期待されます。

 年齢が35歳で一般的には下降期に入っていること、定期的に故障離脱していること、そして昨季はバレル率(ホームラン性の打球の割合)がキャリアワーストを大幅更新するなど懸念点が多いので狙い目だと思います。

 アレクサンダーは左打者にはバレル率が6%程度と平均より優秀な成績を残す一方で右打者にはシンカーが13%、チェンジアップが40%と驚異的な数字になっており右打者との対戦は極力避けるべきです。そこを考慮すると使いにくいので、獲得優先度は低くなります。

その他

 ロッキーズのクローザーのタイラー・キンリーやマーリンズのアンソニー・ベンダーなどもトレード市場に出るなら狙ってみたい選手ですが、今のところあまり放出の噂もないためFA市場を物色することになりそうです。

内野手の選手層向上

 アスレチックスの内野陣は現在レギュラーはいるものの控えやマイナーの層が薄く、怪我人が出たら苦しい状態です。したがって、各ポジションの選手層を厚くしていきたいところです。

現状の戦力層

 ひとまずは今在籍する選手をリストアップしてみました。

筆者作成

 どのポジションも一応選手はいるのですが、控えクラス以下はWARがプラスになるか微妙な選手たちが多くどうしても不安が残ります。ユーティリティのマックス・シューマンが様々なポジションを守りながら安定した成績を残してくれたら話は早いのですが、彼もまた昨季デビューした実績の浅い選手。今季も昨季と同じように活躍するとは限りません。

獲得候補

 ユーティリティプレイヤーでは、前ドジャースのキケ・ヘルナンデスなどが候補になります。シューマンとキャラ被りするのを嫌うのであれば少しポジションの幅は狭まりますがホルヘ・ポランコに来てもらうのもアリですね。どの選手も、実際に来てくれるかは知りません。

 FA選手の獲得が難しいということで考えると、トレードも検討したいところです。しかし「ある程度試合中やそれ以外でも貢献が計算できる」という縛りではドジャースのクリス・テイラーくらいになってしまいます。現実的には難しいのかもしれません。

センターをどうにかする

 現状のアスレチックスのセンターはJJ・ブレデイが守っており、打撃面の向上によって昨季はWAR3超というレギュラークラスにふさわしい活躍を見せています。しかしながら、現状で満足することは少々危険かもしれません。

 ブレデイは23年シーズンにレフトで多く出場し、守備面ではプラスの貢献度を残しました。センターでは毎年各種守備指標でマイナスの数字を出しており、特にDRSでは昨季-19という成績です。シーズン途中まではなんとか平均程度で持ちこたえていたもののシーズン中終盤に一気に数値が低下したことを見ると、シーズン通してセンターを守らせるという構想には無理があるというのは明らか。おととしの盗塁王エステウリー・ルイーズも攻守ともにスタメンで進んで起用したいレベルにはなく、現状のアスレチックスではブレデイに次ぐセンターがライトのレギュラーであるローレンス・バトラーかユーティリティプレイヤーのマックス・シューマンということになります。

 マイナーにはプロスペクトのデンゼル・クラークが控えていますがまだまだ粗削りで、必要戦力としてではなくクラークの状況に合わせて起用を決めたいところです。最悪、シーズン前半を既存戦力で耐えて、トレードなどでレフトのベテランたちを放出してブレデイにレフトを空けておきシーズン後半にクラークを起用する、というのもなしではありませんが余裕があれば補強してほしいですね。

獲得候補

 FAのセンターで言うとまずは前メッツのハリソン・ベイダーと前パイレーツのマイケル・A・テイラーが候補となりそうです。彼らの共通点は守備力の高さ。両者ともにキャリア通じてレギュラーで出場した場合どんなシーズンでも何かしらの守備指標で+10点は出せる能力を有しています。加えて両者とも下位打線で見る分には十分な打力で、獲得すれば大幅な戦力強化になるのは間違いありません。

 先ほど挙げたキケ・ヘルナンデスはここでも候補になるでしょう。ポストシーズンでの活躍が印象的なベテランから勝者のマインドセットを授かれれば若手選手にとっては素晴らしいことです。

おわりに

 この記事ではアスレチックスにも手が届きそうなターゲットを交えながら残りの補強ポイントを解説しました。ルクラークの獲得によって収益分配金の維持に必要な総年俸は確保したようなのでこれ以上補強があるかは知りませんが、楽しみに待ちましょう。

 今回も最後までお読みいただきありがとうございました。もしよければスキフォローTwitterのフォローもよろしくお願いします。それではまた次の記事でお会いしましょう。

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