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どうなる?バルセロナのエアビー禁止措置

オーバーツーリズム関連のニュースが多い今日この頃。最近日本でもバルセロナのオーバーツーリズムのデモで観光客が水鉄砲で攻撃されるというニュースが注目されていたよう。

明らかに行き過ぎな行為ですが、バルセロナでは、ツーリスト・アパートメント(いわゆる民泊)の増加で住民のための長期のアパートメントが不足し、家賃が急激に高騰しています。なんでも過去10年で賃貸の家賃は平均で68%、住宅購入価格は38%増加しているそう。その増加を肌で感じ取っているバルセロナ市民は、効果的な対策を取っていない市に対して(そしてごく一部の市民は観光客に対して)怒りが頂点に達しているようです。


バルセロナのホテル事情

今年7月にスペインを訪れた外国人は前年同月比で7%超の増加。たしか去年はコロナ前の2019年の数字を超えたので、過去最高の観光客が訪れたことになります。スペインは近い将来、フランスを越えて、もっとも多く観光客が訪れる国になると予測されています。

現在バルセロナ市内のホテル、ペンション、ホステルは4万室弱ほど。

それに加え、Airbnbなどに掲載されている市のライセンスを持っている合法的なア短期アパートメント(滞在31日未満のレンタル)は1万100軒ほどあります。現在市は新しいライセンスの発給はしておらず、この数が増えることはありません。全国紙エルパイスによるとこれは全ての宿泊施設のキャパの38%を占めるそうです。

これに加えて、ホストの住んでいる家の1室をレンタルするケースがあります。更に、違法の短期アパートメントレンタルが最低でも数千軒はあるだろうとされています。

バルセロナでエアビーが廃止される?

デモの参加者が観光客に水鉄砲で攻撃したニュースが広まった直後、バルセロナ市長は2028年11月までに全ての31日未満の短期のアパートメントレンタルを廃止すると宣言。これには当然エアビーに掲載されているレンタルが含まれるので、事実上のエアビー禁止措置です。ホストの家にホストと一緒に滞在するタイプはライセンスの除外となっているので恐らく対象となっておらず、こちらは2028年11月以降も継続されると思われます。

本来、家族がバカンスで出かける期間に短期で部屋を貸したり、一つの部屋が余っているから旅行者に貸したいという意図で始まったエアビー。今ではその多くのアパートメントが企業やマフィアなどが利益のために運営している状態となっています。

今後バルセロナで起こりうること

所有者が2018年11月直前まで待って長期レンタルに切り買えたり、売却しようとすれば一気に市場にアパートメントが溢れ、価格が下がることが考えられます。そのため、2018年11月を待たずに短期アパートメントレンタルを辞める所有者が出てくのではないかと思います。

他方で現在バルセロナの中心部で新しいホテルのライセンスを発給していないバルセロナ市は、ホテルの認可についてはもう少し柔軟な対応をする計画だそうです。ただ、既存のアパートメントをホテルにすることが許可されるとは考えにくい上に、ホテル建設となれば今後4年で完成させるのは難しいでしょう。

バルセロナ市周辺の市の短期アパートメントレンタルやホテルが今後増えることも想定されますが、バルセロナ市内において7月や8月などのピーク期はホテル不足が起こり宿泊費が大幅に跳ね上がることが想定されます。

バルセロナが6月に短期アパートメントレンタル禁止を発表してから、ブダペストやリスボンなどでも禁止する案が浮上しているとのことで、今後世界中で同じ動きが起こりそうな気配です。

違法レンタルの取締り

違法レンタルに関しては、バルセロナは調査員を雇って違法が確認されれば閉鎖、そして罰金の措置を取っていますが、会社で運営しているアパートメントは1度や2度の罰金を払ってでも元が取れるので、再犯率が高いそうです。また、マフィアなどは所有者を頻繁に変えたりし罰金を逃れているそうです。

同じような状態にあるセビリアでは、市が違法ツーリスト・アパートメントの水道を止めることができるように法を改正し、裁判所もこれを承認しています。これによって、所有者が見つからない、分からないという状態はある程度解決されそうです。

また、バレンシアやアリカンテなどの人気の観光地を有するバレンシア州では、建物の外に設置されたロックボックスを禁止し、チェックインの際にはホストが直接宿泊者と会って鍵を手渡しすることなどを盛り込んだ法案を可決する方向だということ。

今後、バルセロナを含め他のスペインの町も同様な措置を取るかが注目されます。

エアビーで注意すべきこと

そしてエアビーで注意すべき点は、違法のアパートメントも掲載されているという事実です。例えば、2022年にはバルセロナの300以上の違法のアパートメントが掲載されていたそうで、市はエアビーに対してそれらの掲載を削除するように依頼しても改善はされていないようです。

予約をしたのに関わらず違法だったため市が閉鎖し泊まることができなかった、という目に合わないためにも、予約する前に怪しいところはないか確認するのがベスト。例えば、アパートメント丸々のレンタル(ホストが住んでいる家の1室ではない宿泊施設)にも関わらず、「宿泊先について」の説明欄の一番下の「届出・登録番号」の箇所に「HTUB-」で始まる番号が記載されていない場合や「Exempt」となっている場合は違法の可能性が高く注意が必要です。例:

エアビーの宿泊先についての記述

また登録番号の登録住所と実際の宿泊施設の場所が異なっている場合も恐らく違法です。カタルーニャ州政府のウェブサイトで登録番号を入力するとその登録住所を確認できます。

宿泊税の増加

これに加え今年4月に値上げされたバルセロナ市の宿泊税もまた更に10月に値上げされるとのこと。4月には1泊1人辺り3.25ユーロだった宿泊税が4ユーロになります。これに加え州の宿泊税があり、1人1泊4つ星は1.70ユーロ、民泊は2.25ユーロと宿泊タイプにより異なります。2人でエアビーの民泊に泊まれば、1泊辺りの宿泊税は12.50ユーロとかなりの額です。

旅行はどんどんラグジュアリーなものとなることは間違いないようです。

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