「中国語の歌詞がイイ」と心底思った日
7月6日に流れたネットニュースの小さな記事に目が奪われました。
「ココ・リー(CoCo Lee)さん死去 香港出身の人気歌手 享年48」
彼女の生まれは香港でサンフランシスコ育ち。R&Bにヒップホップを取り入れ、徹底的にショーアップされたステージはアメリカでも人気のシンガーでした。
21世紀になってすぐ、何も知らない頃、正直、中国語歌詞の歌に興味がなかったのですが、「まぁ、聴いてみて」と、香港の知人から送られてきたCDの中に彼女のアルバムが入っていました。Love You If I Wantを気乗りしないまま聴いてみると…
彼女のつややかで表情豊かな声で、中国語の歌詞が見事にR&Bに乗ってるではありませんか。むしろ英語よりもイケてます。目からウロコとはこのこと、これもアジア人の血が騒ぐってヤツでしょうか。20年以上経った今でも驚きを鮮明に覚えています。
Love You If I Want
日本ではロックを日本語で歌うことについて、先人の相当な努力があったと聞いています。中には「日本語でロックは表現できない」と言い切るバンドもあったようですが、はっぴいえんどのメンバーだった細野晴臣、松本 隆、大瀧詠一、鈴木 茂たちが、ありとあらゆる音楽的実験を繰り返し、ようやく、日本語をロックに乗せる方法論を得たのですね。その後、YMOでは細野晴臣が1981年にラップを実験的に歌ってました。
さて、ココ・リーも、中国語をポップスに無理なく乗せる、さらに魅せるといった点では相当苦労されたことでしょう。夭折されたのはとても残念ですが、アジアンポップスを世界にひろげた先駆者として、永遠の歌姫をたたえたいと思います。
"R.I.P. CoCo"
Reflection (From "Mulan")