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僧帽筋のすすめ

僧帽筋(Trapezius muscle)は背中の最表層にある大きな筋肉で、女性で1位、男性で2位と最も主訴の多い肩こりに関係する主要部位です。
 肩と首の間を触りながら正面で片手や両手で重りを持つことにより、僧帽筋の動きを感じることができます。
 筋全体では肩甲骨上方回旋作用があり、腕を上げる三角筋の働きを補助する。


1 分類

 僧帽筋は、機能面と筋走行から上部・中部・下部に分けられる。

2 走行

 僧帽筋は 、上部の筋束は斜め外下方に、中央部は殆ど水平に、下部は斜めに外上方へ走行しています。
 三角筋・菱形筋・上後鋸筋と筋連結しています。

3 機能

 日常動作では、腕を下垂位で物を持つ際に使われます。
 スポーツ動作では、柔道やレスリングなど相手を持ち上げたり、引き寄せたりする動作時に働きます。

 僧帽筋上部は肩甲骨と鎖骨の肩峰端を上内方に挙げ、中部は肩甲骨を内側に寄せ、下部は肩甲骨を内下方に引き下げると同時にその下角を内側に回します。

 僧帽筋は全体で、胸郭に対する肩甲骨の安定化に関与しています。
 胸郭出口症候群の牽引型では、僧帽筋中・下部線維の筋力低下が多くの症例でみられます。
 これは、僧帽筋中・後部線維の筋力低下により、肩甲骨が外転、下制、下方回旋し、腕神経叢に過度の牽引が加わるため胸郭出口症候群の諸症状が出現します。

 片側が拘縮した場合は、拘縮した側の肩峰が上がり、頭部は対側へ回旋し、ヤコビー線は水平を維持するのが特徴です。

⑴上部線維
  ①両側が作用した場合
   ア 肩甲骨の挙上・ 上方回旋
      鎖骨の肩峰端の挙上とともに肩甲骨を挙上し、同時に、前鋸筋  
     下部線維と共同して肩甲骨の上方回旋に作用します。
      広背筋が拮抗筋です。

   イ 頚椎の伸展
      上部線維の両側同時収縮は、頚部の伸展に作用します。
      板状筋群が、協働筋です。

  ②片側が作用した場合
    上肢帯を固定した場合、片側のみ収縮すると頭部が同側側屈し、
   対側回旋し、僅かに伸展します。胸鎖乳突筋が協働筋です。

⑵中部線維
  僧帽筋中部線維の停止部と三角筋中・後部線維の起始部は、共に肩峰と
 肩甲棘です。
  僧帽筋中部線維の停止部は肩峰の内側(縁)と肩甲棘の上縁で、三角筋
 中部線維の起始部は肩峰の外側縁、三角筋後部線維の起始部は肩甲棘の
 下縁です。

  肩甲骨の内転とともに肩甲骨の上方回旋に作用します。肩関節90°外転
 位において僧帽筋
  中部線維は三角筋中・後部線維と肩峰と肩甲棘を介して互いに引き合う
 関係になります。

  上記の関係から、僧帽筋中部線維は、三角筋中・後部線維の収縮効率を  
 高めるための固定筋として捉えることができます。

⑶下部線維
  僧帽筋下部線維は、広背筋胸椎部を被っています。肩関節のゼロポジシ
 ョンにおいて僧帽筋下部線維は肩甲骨を介して三角筋と互いに引き合う関
 係になるため、挙上位における三角筋の収縮効率を高めるための固定筋と
 して捉えることができます。

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