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BLANK PAGE 空っぽを満たす旅 感想

BLANK PAGE 空っぽを満たす旅 
著者 内田也哉子
2023/12/15  出版




<あらすじ>


母 樹木希林と、父 内田裕也を立て続けに亡くした娘 内田也哉子さん。
いろんな人との対談や一人時間を経て、つづられたエッセイ集である。

対談が多く、短編になっているので気になっているところから手をつけるもよし、最初から最後まで読むのもよし。
ただし、「はじめに」と「おわりに」のページは順番どおり読むことをおすすめする。

これ、オーディブルで聞いてもいいだろうなぁ。


<感想>


角から角までかっぽじるように読み進めていった。どの言葉も取りこぼすまい。

父母との思い出や、対談。父母の生前関わりのあった人、ややこさん自身が会ってみたかった人など、様々な豪華な対談相手である。

私が好きだった対談は以下

・谷川俊太郎
・小泉今日子
・ヤマザキマリ
・是枝裕和
・マツコ・デラックス

なかでも、ヤマザキマリさんとの対談には私自身も救われた。

清々しい面持ちで、マリさんが呟いた。
「なんか、生まれてきたから、生きてていいんだ……、へぇーって感じ」

この軽やかな希望と、聡明な探求心と、人間に限らず生物に関する(以下略)溢れんばかりのシンパシーと、当たり前の孤独と共に生きる佇まいこそが、ヤマザキマリという人なのだ。

188ページ

なんだか、心の荷が下りたというか。

人生を無駄なく使わなきゃみたいなプレッシャーにおおわれるときが私にはある。将来の不安を考えることだってある。

でも、そっか、立派じゃなくていいや。
明日になったとき今日も楽しかったなって振り替えれればいいや。


マツコも強く見えて、寂しさと共に生きているのだなって対談で垣間見れて、ちょっと好きになった。



<私なりの解釈>


ややこさんが空っぽを埋めていくように、私も自分の暗い部分を否定しないで向き合おうと思った。

誰の心にもふと孤独の闇は潜んでいて、それと向き合う時間が各々あるんだな。そして、それは私だけじゃないよ。とても安心してしまった。

そして、残されたものは生きる。
意味を見いだしても、見いださなくてもいい。

そのときの自分の気持ちに浸って考える時間があったっていい。

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