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「この世にたやすい仕事はない」津村記久子 〜パンノキチップスが気になる〜

久しぶりに小説を読んだ。
じわじわと面白かった。

ちょっと不思議でファンタジー味がありそうでないようなあるようなお話。

「一日コラーゲンの抽出を見守るような仕事はありますかね?」ストレスに耐えかね前職を去った私のふざけた質問に、職安の相談員は、ありますとメガネをキラリと光らせる。隠しカメラを使った小説家の監視、巡回バスのニッチなアナウンス原稿づくり、そして……。社会という宇宙で心震わすマニアックな仕事を巡りつつ自分の居場所を探す、共感と感動のお仕事小説。芸術選奨新人賞受賞。

新潮社ウェブサイトより


読みながら飽きない。仕事に対する向き合い方、職というものへの考え方をもっと楽にしてもいいのかもと思った。


5番目の仕事に出てくる、上司的な立場の人 箱田さんの言葉が印象的だった。


それでええんやと思う、と箱田さんは付け加えたいらしい。前におった人も、前の前におった人も、本筋の仕事でなんかあって公園に来た人みたいやったけど、この仕事で、まあ働けんねやな、と思って、そんでまた自分の仕事に戻ってったらええやん、と。


そうか、そういうものか。なんらかの仕事をして、まあ働けんねやな、まあ生きていけんねやな、と一回ふっと自由になれたらそれがいいのかもしれない。そんな瞬間が私にも必要かもしれない。

根を詰めて働きすぎかもな、自分。



*公園の仕事で「パンノキチップス」がでてくる。主人公が気に入って食べてたけど、おいしいんだろうか?気になる。

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