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【月経周期における睡眠中のエネルギー消費】

Umito / カラダ・コンサルティングの山本健太です!
理学療法士の資格を持って地域で予防の活動に取り組んでいます!

・睡眠について最低限知っておいてほしい情報
・睡眠習慣を見直す情報 を発信します!

前回は、短鎖脂肪酸と不眠の関係についてについてお伝えしていきました!今回は、黄体期の睡眠中におけるエネルギー消費の変化について考えていきます!

睡眠中の体温変化とエネルギー消費

体温の変化は睡眠に対して、大きな影響を及ぼします。女性は月経周期中に体温の変化を受けます。排卵後のプロゲステロンが上昇した後、深部体温は卵胞期と比べて上昇します。それに関連して卵胞期と比較して黄体期のエネルギー消費量が高いことが報告されています。生物学的反応のQ10は2.0から3.0の間であり、体温が1°C上昇するとエネルギー消費量が7〜12%増加すると予測されています。Q10とは、温度が 10°C上昇した場合、ある化学反応の反応速度が何倍になるのかを表す指標です。

ある研究では、黄体期において睡眠中の平均深部体温(+0.27°C)とエネルギー消費量(+6.9%)の有意な上昇が観察されました。卵胞期と比較して、黄体期の睡眠の最初の2時間の間に放熱が抑制されました。黄体期の深部体温の上昇は、エネルギー消費量の増加と放熱の抑制を伴って生じたようです。この体温上昇は、おそらく性ホルモンの他の影響を反映しているとされています。

黄体期のエネルギー消費の増加は、少なくとも部分的には、プロゲステロン分泌の増加の結果と考えられています。黄体期では、エストロゲンとプロゲステロンの尿排泄の増加が確認されています。睡眠中のエネルギー消費は、血液中のプロゲステロン濃度レベルと相関していましたが、エネルギー消費とエストラジオールの間に有意な関連性はなかったようです。女性においてプロゲステロンは、皮膚血管の拡張反応の開始をより高い深部体温にシフトさせますが、エストロゲンは逆の効果をもたらす可能性があると考えられています。

黄体期に起こる睡眠の変化

研究において睡眠中の体温の放熱は、黄体期では夜間のメラトニン分泌が発生する特に最初の2時間の睡眠中に抑制されたようです。男性の深部体温と女性の卵胞期における夜間低下の主な構成要素は、メラトニンの低体温作用によるものです。放熱が抑制されて、深部体温が卵胞期より高止まりすることで、睡眠段階は浅くなる可能性があります。実際、急速な眼球運動は睡眠のより早い段階で生じ、レム睡眠の割合は黄体期に減少する傾向があることがわかっています。しかし、睡眠恒常性は月経周期全体通してみると維持されているようです。 徐波睡眠、睡眠継続性、睡眠効率の割合は、月経周期全体で安定しています。

黄体期は睡眠中のエネルギー消費が上昇するため、一見いいことのように思えるかもしれませんが、女性の皆さんは体感しているように睡眠の質は低下してしまう可能性があります。深部体温が十分に低下することで、深い眠りにつくことができて頭も身体もしっかり休まるからです。熱がある時は、火照って身体もだるく感じるはずです。プロゲステロンの影響は夜間にとどまらず、昼間においては体温上昇を抑えるために放熱が持続されることで、体温がピークに達する午後16時前後の時間帯は、眠気が強く襲ってくるという方もいるでしょう。ホルモンの変動による影響のため、なかなか対策を講じるのは困難ですが、自律神経が働きやすい身体環境を常に整えておくことが必要になってくると思います。どんな状況においてもそれに合わせて交感神経・副交感神経を働かせることができれば、振り回される影響も少なくなることが考えられます!

参考文献
Zhang S, Osumi H, Uchizawa A, Hamada H, Park I, Suzuki Y, Tanaka Y, Ishihara A, Yajima K, Seol J, Satoh M, Omi N, Tokuyama K. Changes in sleeping energy metabolism and thermoregulation during menstrual cycle. Physiol Rep. 2020 Jan;8(2):e14353. doi: 10.14814/phy2.14353. PMID: 31981319; PMCID: PMC6981303.

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