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【小児期の鉄欠乏と睡眠】

Umito / カラダ・コンサルティングの山本健太です!
理学療法士の資格を持って地域で予防の活動に取り組んでいます!

・睡眠について最低限知っておいてほしい情報
・睡眠習慣を見直す情報 を発信します!

前回は、睡眠の質を改善するための腸内細菌を介した運動効果についてお伝えしました!今回は、赤ちゃんの睡眠と鉄欠乏の関係について考えていきます!

鉄欠乏による睡眠障害

お子さんによって、睡眠にはかなりの差があると思います。もしかしたらそれは鉄欠乏が要因かもしれません。産前から出産に伴い、母体は鉄が欠乏しやすい状態となります。分娩時の出血量に伴う貧血となり、産後に鉄剤を処方される方も少ないはないはずです。鉄は、酸素の輸送に必要なヘモグロビンの構成や、DNA合成、神経伝達物質代謝など、脳の多くの基本的な働きに関与しています。 鉄欠乏症は、海馬、線条体、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質に変化をもたらします。そのため、子どもの落ち着きや睡眠に関わるメラトニンの生成にも影響を及ぼします。小児期の鉄欠乏症は、神経組織や神経伝達物質の機能に損傷を与える可能性があり、視覚や聴覚の発達遅延により神経認知発達(記憶、注意、学習)および行動障害の障害に関連することがわかっています。

鉄欠乏による睡眠障害には、周期性四肢運動障害やアカシジア、むずむず脚症候群などの不随意運動があり、覚醒が促されてしまいます。いずれも鉄欠乏により睡眠作用をもたらすアデノシンが低活動となり、グルタミン酸の過活動が引き起こされるとともに、ドーパミンの過活動も同時に起こり、運動・体性感覚領域に問題が生じるようです。

睡眠状態の変化を持続

小児期において、ノンレム睡眠は生後3ヶ月程度で、大人と同様な4段階の睡眠段階が確立されます。生後6ヶ月時点で鉄欠乏のある乳児のノンレム睡眠の頻度や時間を正常乳児と比較した研究があります。その研究では、鉄欠乏のない乳児に比べて、ノンレム睡眠のステージ2〜4段階の頻度および持続時間が少ないことが報告されています。その分、レム睡眠量が多くなる特徴を報告しているものもあります。
つまり、鉄欠乏のある乳児は、眠りが浅くなる傾向があるようです。さらに、鉄欠乏のある乳児では、睡眠時間が短くなり、夜間の覚醒が頻繁で、落ち着きがないことも報告されています。

しかも、鉄欠乏状態が改善してもその睡眠パターンには有意な変化が見られず、4歳時点でも、睡眠前半および中間のレム睡眠時間が長く、後半のレム睡眠時間が短いという一般的な睡眠パターンから逸脱しているという報告があり、鉄欠乏期間による発達の差が永続的に影響する可能性が示唆されています。この問題を解決していくためには、早期から鉄欠乏にならないように対処することが重要です。しかし、小児期において、その対処は難しいもので短期間での改善は得られないことです。そのため、元々経血量の多い方や貧血傾向にある方は、妊娠する前から積極的かつ継続的に鉄分調整に取り組むことで予防していきましょう!


参考文献:Peirano PD, Algarín CR, Chamorro R, Reyes S, Garrido MI, Duran S, Lozoff B. Sleep and neurofunctions throughout child development: lasting effects of early iron deficiency. J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2009 Mar;48 Suppl 1(0 1):S8-15. doi: 10.1097/MPG.0b013e31819773b. PMID: 19214058; PMCID: PMC3673296.


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