あんこの国では、今…… (あんこの つぶつぶちゃん と コシちゃん の きのうの つづき)
「あなた、おもち王子の部屋の灯りが、まだ、ついているわ。
なにか、悩みごとでもあるのかしら」
「ああ。食事のときも、あまり、話さなかったからなあ」
「あの子が慎重なのは、あなたに似たのね」
「そうかもしれないな。あの子のやさしいところは、君に似たんだろうな」
「なにかあっても、兄弟で力を合わせて、きっと、解決するでしょうね」
「そうだな。ふたりなら、だいじょうぶだ。今までだって、そうしてきたじゃないか」
「兄さん、兄さん、」
「どうしたんだ、そんなにあわてて」
「あんこの国の つぶつぶちゃんとコシちゃんに、シュガー王子とソルト王子がプロポーズしたって!」
「それは、ほんとうなのか?僕は、信じられないよ。この前、僕がプロポーズしたばかりなのに……」
「ええっ、僕は、その方が信じられないよ。どうして、そんなに急に?」
「あんこの国の前を通りかかったとき、空気がもやもやしていたから、
つい……」
「つい、って、そんなたいせつなことを、つい、言う?
いつもは、慎重な兄さんなのに、どうして?」
「かわいいつぶつぶちゃんを見ていたら、つい、さ」
「ああ、もう!それより、よくない噂を耳にしたんだよ。
シュガー王子とソルト王子が、あんこの国を狙ってるって」
「狙ってるって?」
「広大なあんこの国を、自分たちの領土にしようと企んでるって」
「それで、プロポーズ、というわけか……なんてことだ」
「ああ、もう、一刻も早くあんこの国に行こう! つぶつぶちゃんとコシちゃんを守るんだ!」
ふたりは、暗いうちから、あんこの国へと向かいました
(つづく)