ボールを投げたら……

私が投げたボールは　届かず
戻ってきた

そのボールは
私に　跳ね返ってきた


胸が　ビリビリ
胸に　ヒリヒリ

ほんとうは
もっと　大きなボールを投げたかった
もっと　強く投げたかった

でも、
できなかった。
怒らせたくなかったから
傷つけたくなかったから
泣かせたくなかったから

私は今、
怒りを感じてるし
傷ついてるし
泣きそう

それでも
これで　よかったんだよね

ああ
だんだんと
胸に跳ね返ってきたボールが
重くなっていく
どす黒くなっていく
胸が　張り裂けそうだ

そうだ
あの人なら　
きっと　受け止めてくれる
私のボールを　小さくしてくれる
私の黒いものを拭い去ってくれる

投げてみよう　あの人に
……

そうして

少しきれいになった
小さなボールは
どうしよう

私の手で
夜空に飛ばそう
思いっきり
投げ飛ばそう

そうしたら

その小さなボールは
どうなると思う？

小さなボールは

宙で　
砕けて
星の　きらめきに

もし

あの人が

重くて黒いボールを
投げてきたら


私も

受け止めるよ