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京大卒の私が絵本を信じる理由② ぶっくくらぶ1歳の絵本

この記事のポイント
・よくわからん絵本が、プロの目で見た良い絵本
・親の不安は、プロに見透かされている
・ぶっくくらぶは暖かくて良いサービス

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 少し前に「京大卒の私が絵本育児を信じる理由」という記事で、自分の出自含め詳しめに書いた。簡単に言うと、私が自己肯定感高く、京大に行き、好きな仕事をしてるのはぶっくくらぶのおかげだと思っている。

 ぶっくくらぶとは、出版社の童話館がやってる絵本の定期購入サービス。私はぶっくくらぶの絵本とともに育った。そしてエン様(子どものあだ名)のためにぶっくくらぶの契約をしている。

 そんなに推すとは、ぶっくくらぶはどんな素晴らしいサービスなのか? と皆疑問に思うだろう。ところがどっこい、ぶっくくらぶは良いサービスなのかどうか、一見よくわからない


 有名絵本は自分で買ったり図書館で借りたりする。はらぺこあおむし、ぐりとぐら、しろくまちゃんとほっとけーきetc。

 しかし、ぶっくくらぶは「えっ、この絵本本当に良いの……?」というような絵本を送ってくる。親の価値観では選べない絵本を送ってくる。具体例を紹介しよう。

⚫︎文字のない絵本

「うちの子みませんでした?」が届いた時は面食らった。ほとんど文字がなく、迷子の鴨と子を探す親鴨が各ページに描かれている。どうやって読めばいいかわからない。

「アルどこにいるの?」もほぼ文字がない。迷子犬になってしまったアルを少年が探しに行く。これはエン様の大好きなぶーぶーとわんわんが出てくるので最初からハマった。良い本だと思う。でも、自分では絶対選べない。

⚫︎パパ絵本

 ママ単独で出てくる絵本、ママパパセットで出てくる絵本はある。しかしパパ単独はあまりない。そしてママが本屋に行ってもなかなかパパ絵本は買えない。買う動機がない。

「ねんね」と「ちらかしぼうや」はおとうさんと子しか出てこない。絵本読んでる時に「パパ、パパ」と言い出したらこの本の出番。「ねんね」の読み聞かせ効果か、エン様はねんねのパパによじのぼり、バシバシ叩き、好き好きーとすり寄る。おとうさんねんね。

⚫︎単純すぎる絵本


「くまのテディちゃん」
テディちゃんは吊りズボン、エプロン、イス、テーブル、コップ、食器、ベッドを持っている。ただ、それだけの絵本。本当にただ、それだけ。
これは……自分では買えねぇ。

⚫︎猫の絵本


「ねこねこ10匹のねこ」
「ねこのモグと家族たち」
これは完全に好みの問題なんですけど、私は別に猫好きじゃないんですよ。嫌いなわけでもないけど、犬と猫どっちか選べと言われると、犬派。自分で猫の本を買おうとは思わない。でも私の好みでエン様が出会う動物を制限するのもなんか違うなと思う。

そこでぶっくくらぶ。勝手に猫絵本を送ってきてくれるのでエン様は猫を知ることができる。にゃー

⚫︎急にねんねする絵本


「さよならさんかくまたきてしかく」
「こぐまちゃんおはよう」
「まてまてまて」
なぜか結末は、みんなねんね。

「さよならさんかくまたきてしかく」は電気が消える描写があるのでまだわからんでもない。
しかし「こぐまちゃんおはよう」は今顔洗ったり朝食食べたりしたよな?! という急展開ねんね。
「まてまてまて」も今ハイハイしてたよな?! からの急展開ねんね。

なぜねんねで終わる絵本が多いのか……謎は深まるばかり。

●ママ絵本

「よくきたね」
「まてまてまて」
「きゅっきゅっきゅっ」
これは王道ママ絵本。最初に動物がいろいろ出てきて、最後にママが出てくる。
エン様は読み聞かせをしている時に「ママ、ママ」と言い出す時があり、そんな時はこれらの本。最後に「ママー!」と言っておしまい。


 良さそうな絵本も、よくわからん絵本も送ってくれるぶっくくらぶ。重要なのは、親の価値判断ではなく絵本のプロが良いと判断して送ってくれる絵本であることだ。私たち親が接しているのは多くてN=2、3、私はN=1の育児素人。かたやぶっくくらぶは配本歴40年の超ベテラン選手。

 ぶっくくらぶも親の不安は見通している。配本リストにこんな記載がある。

子どもと本との出会いの結果は、短期間で答えが出るものではありません。まずは、「ぶっくくらぶ」を1年間は続けられてみてください。その過程で、きっと良い結果が見えてきます。

2024年4月発行 配本リスト ご利用にあたって

 毎月絵本に同封される「通信」の今月号にはこんな記載があった。

共通の主題として、(中略)「とにかく、励ましを!」という想いです。「この世へようこそ」「困難はあっても、よくなっていくこと」「よくしていくことができること」「私たちはそんな存在であること」(中略)むずかしい時代だからこそ、そんな人生のモデルや導きを示し、人生を紐解く鍵の一つか二つでも得られるような作品を送り出したい

2024年4月 童話館ぶっくくらぶ通信

 まさに「肯定」を意識して本が選ばれている。親が選ぶと好みに寄ってしまいがちで、ぶっくくらぶのような選書はとてもできない。ぱっと見どこが良いのかわからない絵本たちに、子どもを育てる「何か」があるらしい。

 そして、童話館はとても暖かい。毎月の「通信」の読者欄に、0歳から小学生まで、いろんな親子から寄せられたメッセージが載っている。

「ページをめくれるようになりました」
「◯◯の絵本がお気に入りです」
「まだ字が読めないのに、私が読み聞かせをしているのを覚えているのか、絵本をめくりながら自分で暗唱しています」
「寝る前に絵本をたくさん持ってきます。読むのが大変と思いつつ、こうやって読めるのは後少しと思うとたくさん読んであげようと思います」

なかには小学生からのメッセージもある。
「いつも本が届くのが楽しみです」
「小さい時からぶっくくらぶに絵本を送ってもらいました。卒業するのが寂しいです」

 うちはまだ1歳半だけど、これからぶっくくらぶを続けるとこんなシーンに出会えるかもしれない、と楽しみになる。

 童話館のスタッフもとても暖かい。エン様の契約をしようとした時、私と弟の配本データが残っていた。時々手持ちの絵本が配本リストに入っているので連絡すると、定型文ではなく個別に返信をくれる。先日はお手紙が届き、ビックリした。

 効率化、コスパ、タイパの世の中で、ポストカードに手書きでメッセージを書き、63円の切手を貼り、投函する手間よ。サービスの向こうには常に人がいる、という当たり前のことを強く感じる。

 ちなみに、ぶっくくらぶの配本リストには福音館など他出版社の絵本もラインナップされている。他社の本を含めることで配本サービスとしての質を向上させ、契約者数が増え、最終的に自社の収益向上を図るという素晴らしいビジネスモデル。

 気になるお値段は? 10年続けると、毎月2,500円×12ヶ月×10年=30万円。強い心を育てるために、投資対効果を高いと思うか低いと思うかはあなた次第。



 福音館やフレーベル館の配本サービスとは比べていないのでわからないけど、そちらも良いのかもしれない。どんな形であれ、絵本育児を楽しみたいですね。

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 最後までお読みいただきありがとうございました。

≪終わり≫ 


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