笑っていようね。
久しぶりの日記!
昨日は約一年半ぶりに一人暮らしをする祖父の家に行った。
コロナ過で無自覚に感染し、祖父にうつすわけにもいかないと、祖父と両親のワクチン接種が終わったタイミングを見計らって。
最初祖父の家に上がった時、私は動揺してしまった。
何故なら、いつも綺麗にしてあった祖父の家の机は埃だらけ、床もゴミが散乱し、庭の草木も荒れ放題で、とても元気に暮らしているようには思えなかったからだ。
一年半前に会った時は元気に自転車に乗って公園に清掃ボランティアに行って、徒歩で20分程度の神社へも家族の誰よりも闊歩していたのに。
今は立つのもやっとの様子で目は虚ろ、あんなにお酒を飲んでガハガハと笑っていた祖父の姿は、もうそこに無かった。
そんな祖父は、言葉も少し拙くなっており、最近は物忘れも激しく、周りに良く心配されるという。認知症の毛があるみたいだ。
それを自覚し受け止めていること自体、祖父は相当賢いと思うが、やはりショックは大きい。
そんな祖父が、十数年使っているガラケーがもう使えなくなったと言っていたので、新しく簡単スマホを購入するために近くの電気屋に行った。
一通りの手続きを終え、祖父が実際にスマホを操作してみる。
すると、手が震えて上手く液晶をタッチできない。
頑張ってタッチしようとすると、力が強くなりすぎて反応してくれない。
それでも、私がスマホの操作を教えると、一生懸命何度も何度も挑戦する。
これで俺もスマホデビューだと笑い、難しいなぁと言いながらも、少しずつ出来るようになっている祖父。
後期高齢者が慣れないスマホを使うことがどれだけ大変なのか、私には到底計り知れないが、それでも諦めずにスマホと格闘する祖父の姿には、とても頭が上がらない。
祖父は強いなぁ。
一通り、スマホの操作を練習して、夕飯時を迎えた。
オリンピックを見ながら皆で素麵をスルスルと胃に流し込み、ある程度落ち着いた後、明日は月曜日だからと、早めに帰ることになった。
祖父はその日一日私や妹に、学校の様子など、沢山のことを聞いて話してくれた。
私は無類のおじいちゃん子なので、久しぶりに会えて、しかも話をしようとしてくれることが凄く嬉しかった。
来た時に変わってしまったとさえ思われた祖父も、一日一緒に過ごすうちに段々と笑顔が増え、私は少し安心したのかもしれない。
それじゃ帰るねー、またねーと祖父に話しかけると、祖父はスマホに夢中で私の声が聞こえていないのか、無反応であった。
再度、帰るね!と声をかけたが、おぉ、と答えただけだった。
前は帰りに玄関まで見送りに来ていた祖父も、もう立つのが辛いので、その場でお別れだ。
私は少し悲しくなってしまった。
そうして、私はこういう小さな変化を少しづつ感じる度に、切なくなってしまうのだ。
コロナが無ければ、祖父は引き籠ることなく、今まで通り自転車をこいでいたかもしれない。立つのが辛くなかったかもしれない。
これが単純に年齢によるものだとしても、もっと元気なうちから、この一年半の間、沢山会って沢山話して、祖父が年老いていくことに対する不安を少しでも和らげてあげられたかもしれない。
そんな悔しい気持ちが私にはある。
ただ、祖父はまだ沢山のことが出来る。
頭も良い。
そもそも、妻を亡くしてから十数年、後期高齢者にもなって一軒家で一人暮らしをしているなんて、本当に凄いことだ。
私は今まで何度も祖父と対立したが、心から祖父を尊敬しているし、大好きだ。
だからこそ、これからの祖父との時間を目一杯大切にしたい。
祖父のために私が出来ることを、全力でやっていきたいと思う。
追記:祖父には就職活動をちゃんとしろと、しっかり念を押されました。それが恩返しなのかなぁ。頑張るしかないな。