凛とまっすぐに立って、生きていくということ
詩人・石垣りんに「表札」という詩がある。
僕は落ち込んだときや、自分に嫌気がさしたときに、そっと詩集を開いて、この詩を読むことが多い。
この詩の中には、強い意志を持ってまっすぐに立つ人間「石垣りん」がいる。
肩書や敬称が付いた自分の名前にはろくなことがない。そんなものは取っ払って、自分のあり方は自分で決める。
そんなことができたらいいなと思う。僕は、日々お金を稼ぐために、生きていくために、肩書や敬称に縛られ、不自由に生きている。でも、この不自由さは生きていくために必要なものでもある。
家族と暮らしを守るためには、一定のお金を稼がないといけない。そのためには、今の仕事を続けることがベストの選択肢であることは分かっている。
でも、時々逃げたくなる。
すべて捨て去って自由に生きてみたいと妄想する。すると、とても苦しくなる。そんなときにこの詩を読むと、心の中だけでも凛としたような気がして少し勇気づけられる。
僕にとって大切な詩の1つです。
表札 石垣りん
自分のすむところには
自分で表札を出すにかぎる。
自分の寝泊りする場所に
他人がかけてくれる表札は
いつもろくなことはない。
病院へ入院したら
病室の名札には石垣りん様と
様がついた。
旅館に泊まっても
部屋の外に名前はないが
やがて焼場の罐(かま)にはいると
とじた扉の上に
石垣りん殿と札が下がるだろう
そのとき私がこばめるか?
様も
殿も
付いてはいない、
自分の住む所には
自分の手で表札をかけるに限る。
精神の在り場所も
ハタから表札をかけられてはならない
石垣りん
それでよい。
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