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読書感想文『「バレンタイン流マネジメント」の逆襲』高木徹著

『「バレンタイン流マネジメント」の逆襲』高木徹著について

2006年発売。
NHKの「クローズアップ現代」の取材も兼ねてバレンタイン監督のルポのようなもの。
主に、2004年から翌2005年を中心に描かれている。

マリーンズとバレンタイン監督についてまとめてみる。
2004年、いわゆるバレンタインの第二次政権がスタート(第一次政権は1995年の1年間のみ)。
1年目は僅差の4位だが、勝率は5割ちょうど(一次政権の95年以来の借金なし)。
翌2005年がトピックの多い1年となる。
開幕戦は、新球団の楽天イーグルスに負けるとことからはじまるも、この年からスタートしたセパ交流戦では優勝。
シーズンは2位に終わるも、プレイオフでホークスを破り日本シリーズ出場し、結果、4連勝のスイープでタイガースを下して日本一にる。
データ管理、日替わり打線、定期的な休養など、当時の日本野球のセオリーとはかけ離れた戦術は「ボビー・マジック」と呼ばれ、この頃が日本でのバレンタイン監督の名実ともにピークなのではないだろうか。
2006年は4位で、この年のシーズン暮れに発売された本ということになる。
次いで、シーズン2位、4位、5位という成績を残し2009年シーズン後に帰国。
ちなみに第二次政権時の背番号「2」は、ドジャースのトム・ラソーダ氏に憧れての番号だとか。

この本を読んだ理由

少し前にマンガ「ハイキュー!!」で読んだのだが、
イタリア人監督が、「充分な休養を取って、万全のコンディションで最大級のパフォーマンスを出しましょう」というようなアドバイスをしているシーンがあって、「ああ、欧米型のマネジメントって、日本の精神論、根性論とぜんぜん違うな」と思い、興味を持った。

で、図書館で偶然バレンタイン監督の本を見つけて、そういえばバレンタイン監督好きだったなと思い出し、15年ほど前の本なのだが、ざっくりとした温度感だけでも知ることができれば充分だし、時代はあまり関係ないかなと思い、借りてきた。

ココに刺さった

「何かの仕事をするときは、能力のすべてを引き出すために、その仕事を”楽しむ”ことが必要なのです。それが”重荷”になってしまってはいけません」
(略)
以前のことになるが、一九九六年のアトランタオリンピックの水泳競技の代表だった千葉すず選手が、オリンピックを「楽しむ」と発言して問題になったことがある。

――『「バレンタイン流マネジメント」の逆襲』

今となっては何をするにしても「楽しむ」ことがベターで前向きという空気もあるが、1996年当時はまだまだ市民権を得られてなかったんだなとしみじみ思った。
確かに僕も夏の甲子園で、伝令の子がマウンドで笑顔だったのを見て最初は違和感感じてたしな。
「おいおい、試合中に笑ってたら監督に怒られるだろ」とか心配にもなった。

今では、「楽しめない環境」に違和感や嫌悪感を抱くような社会になってる。
個人的には、この変化は大歓迎。
欲を言うなら、わざわざ「楽しむ」とか「楽しもう」って言わなくても自然と楽しい環境ってのがベストだと思うけど。

この本を読み終えた後に

「選手がミスを犯したとき、それを自分でわかっていないと思いますか? 自分が失敗をしたということはわかっていますよ。さらに恥をかかせて追い打ちをかける必要などないのです。人は誰でもミスを犯します。(略)だから私は私の選手たちに、ミスをしたことを心配してほしくないのです。そしてうまくいったときのことだけを覚えていてほしいのです。そのうまくいった体験を繰り返せるように努力してほしいのです」

――『「バレンタイン流マネジメント」の逆襲』

以前のブラック会社では、ミスがあったらミスをした個人を突き止めて問い詰めるというスタンスだった。
テイとしては、原因を追求し、二度と起こらないように対策を練るというようなことを掲げていたが、どう見たって、吊し上げの個人攻撃だと僕は思っていた。

で、確か何かの本で読んだのだが、ノムさんの「ミス」に関する考えもこのバレンタイン監督とまったく同じだった。
以来僕のミスに関する考え方も、個人を責めても意味がないと考えている。

僕が最近実践しているは、ミスが起こったら、関係者全員に対して「最近起こったことのでの、全般的な注意すべき事柄」として告知することにしている。
ミスをした見に覚えのある人間は「ヤベ」と思いながらも自分のミスと自覚し以後注意してもらえればいいし、その他の人間はそのまま注意事項をして気に留めてもらえばいい。

これがベストなアプローチなのかわからないが、とにかく個人攻撃は(僕だけではなく他のチームメイトも)今後もしないように気を配ろうと思った。

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