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【読書】『このあと どうしちゃおう』ヨシタケシンスケ著を読んで 最期を考えることで今を大事に生きる

以前から気になっていた、ヨシタケシンスケさんの絵本。
『りんごかもしれない』や『みえるとかみえないとか』『りゆうがあります』
など、考えさせられる内容で、とても好きです。

今回は、『このあと どうしちゃおう』を読んで 人生をどう生き最期を迎えるかについて思ったことです。

※一部ネタバレが含めれますのでご注意ください。

●あらすじ

とある少年のおじいさんが死んでしまいました。おじいちゃんの部屋を整理していると、
「このあと どうしちゃおう」と表紙に書いた一冊のノートが出てきました。

おじいさんは自分が死んだらどうなるのか、どうなりたいか、どうして欲しいかをノートに書いていたのです。

●「このあと どうしちゃおう」ノートの内容


『このあとのよてい』のページには、
この世の様子を見に行くことができる幽霊センター、飽きたら天国へ。天国に飽きたら、生まれ変わりセンターで別の生き物に生まれ変わる
とどんな世界に行くのか。

『てんごくってきっとこんなところ』のページには、
おばあちゃんがいる、あちこちにふとんとおんせんがある、けしきのいいトイレ、そらがとべるのでどこへでもすぐいける
など夢いっぱいの世界。

『こんなおはかをつくってほしい』のページには、
とうだいがた、きょうりゅうがた、みかんができるがた、もっきんがた
などの色々なお墓のアイディア。

『みんなをみまもっていくほうほう』のページには、
つきになって。とおりすがりのあかちゃんになって。かさぶたになって。
など家族やみんなを見守る方法。

など、死がテーマではあるのですが、とてもユーモアに富んだ内容でした。

●少年の気持ちとACP(Advance Care Planning)

少年は、そんなおじいちゃんのノートを眺めていて天国に行くのが楽しみな一方でやはり怖い気持ちもありました。そこでお父さんにもどう思うか聞いてみました。

おとうさんはいった。
「でも だれだって いつかは しんじゃうし
それが いつかなんて わからない。
もし じぶんが しんじゃったら どうなりたいか
どうしてほしいかを かんがえて だれかと はなしあったり
ノートに かいてみるのは きっと いいことだよね」

これは、まさにACP(Advanced Care Planning)、人生会議と同じ考え方です。

ACPとは、Advance Care Planningの略で、もしもの時のために、自分が大切にしていることや望む医療.治療.ケアについて、事前に考え・話し合いを繰り返し、共有しておくプロセスをいいます。よく終末期に行うものと考えられがちですが、それだけとは限りません。終末期とは「治療による回復が見込めず、余命が幾ばくも無いと判断された状態」を指しますが、ACPはそのような終末期だけでなく、元気で健康に不安のない時から様々なきっかけで始めてもよい、自分にとって〝大切にしたいこと“を知る機会になり得ます。

いつどのように最期の時が訪れるかは誰にもわからない。
だからこそ、いま、元気な時でも どうなりたいか どうしてほしいかを
考え、誰かと共有し、記録しておく。

そのことについて
医療の堅苦しい表現ではなく、自然な、そして前向きに書いてあり感動しました。

●少年のその後と「いきているあいだは どうしちゃおう」ノート

そこで、少年は自分も「このあと どうしちゃおう」ノートを書くことにしました。でも、考えようとすると、いま、生きているうちにやりたいことがたくさんあることに気づき、
まずは、天国に行った時に空を飛ぶ練習のためブランコを漕ぐのでした。

まさに、最期の時を考えることの意義だと思いました。
死生観について考えることは、「こわい」「縁起でもない」とネガティブに考えられがちですが、
それを考えることで、逆に「いま やりたいこと、できること」に気づくと思います。

●人生100年時代 どう生きるか

人生100年時代と言われる現代。自分が思うように選択して老い死ぬことができる人は30%にも満たないと言われています。


人生のパートナーができたとき
子どもが生まれたとき
初めて選挙に行くとき
なんでもない日コーヒー片手に

人それぞれの人生の節目に自分が大切にしたいことを考える機会を取りたいですね。

「いきているあいだは どうしちゃおう」ノートも素敵ですし、

人生100年時代、ワクワクするような
「75歳からのシルバープラン」ノートも作ってみたいなと思いました。


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