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【Rush Gaming 振り返りシリーズ①】1年の振り返り&今後の展望

こんばんは、お久しぶりです、はじめまして、
Wekids代表取締役の西谷麗と申します。

先日のプロ対抗戦 Day5を終え、惜しくも1マップ差(試合の勝利数ではなく、マップの勝利数で順位が決まるというトーナメントの為)で決勝戦進出を逃しシーズンを終えました。
オフシーズンの今、初めてのチーム運営、そして経営を振り返りながら、今後プロゲーマーになりたい、プロチームを作りたいと思ってる人に少しでもお役に立てそうな内容を何回かのシリーズに分けて書いて行きたいと思います。

まず弊チームがどんなチームかですが、中高生からは「強いかっこいい!!」が大半を占めていますが、ビジネスマン向けには、おそらく日本でも数少ない「女性トップの経営のチーム」(私が女性らしいかは疑問が残ります)で、「ブランディング」「プロモーション」「選手のプロデュース」「コンテンツ制作」あたりが注目をされやすいチームかと思います。選手のかっこいい写真とか動画とかを、継続的に露出させることには非常に力をいれました。(そもそもそれが弊社の本業でもあるので)

また、「選手とストリーマーの兼業体制」と、「1ゲームのみの運営体制」というのも、日本では珍しい構成かもしれません。
事実営業資料には、スタッフ以外は選手は4名、1人ストリーマー、として紹介がされており、それらは分けて数字が記載され、スポンサー費に関しても選手とストリーマーは分けて契約しています。(それをこちらも推奨しています。数字の水増しによる双方の不幸を産まない為です。)

またECをはじめとして、スポンサー費ではなく自分たちの営業努力による売上をビジネスの主軸にしようという経営方針でもあります。それは、ひいては本当のファンの獲得に繋がり、互いにwinwinとなりうるスポンサー様であれば、必ず双方の大きなメリットになるからです。(グッズを買いたい程に好きなチームであれば、ファンの方はそこを積極的に応援してくれているスポンサー企業に対しても興味を持つ可能性が飛躍的に上がるためです。)

詳しい施策などについては、是非これらの記事をご覧頂ければ幸いです。
Rush Gamingに学ぶ、チームや選手のファン作りに役立つ戦略と指標【分析編】
あるプレイヤーがesportsチームのRush Gamingファンになるまで【体験編】
Rush Gaming POP UP STORE開催レポート

序章: まずはざっと約1年間の出来事をまとめてみます。

正直濃すぎて一個一個詰めていくと大変すぎるので、浅くまとめていきます。とはいえ気づいたら非常に長いです。

2017 9月 TGSでRush CLAN esports部門勝利
もともとリーダーのGreedZzには個人スポンサーをしていましたが、これを機にチーム契約を決意。

2017 11月 Rush Gaming by Wekidsとして活動開始
この時は前身となるRush CLAN esports部門と同じく、コミュニティ大会に出場しつつ、普段はesports YouTuberとして活動するチームとして発足しました。
夢はアメリカの世界大会に出ること。
その夢を追いかける姿を発信しつつ、チームオーナーとしては「より多くの人に感動体験、夢と希望を届ける」そんなチームを作ろうとしました。(そしてお金持ちになってほしいな、とも)

2017 1月頃(多分) 初のプロチームオンリーSONY公式賞金大会がアナウンスされる
まさかこんな早く出来ると思っておらず、驚きました。
大会を開いてくれるだけでも、本当に当時は信じられない事だったので、胸が高鳴りました。

2018 2月 闘会議2018。当日聞かされる「アメリカ大会行き切符」
当日のびびりと震えは未だに覚えています。
チーム全員、そもそもそれが夢で何年も活動してきたチームだったので、この時程心の底から「なんでもいいからアメリカに行かせてあげたい」と思ったかしれません。
心臓がぶち破れるかと思いましたが、見事ストレートで優勝。
アメリカ行きを決めます。(※この当時まで、アメリカ大会には日本人は出場が禁止されていました)

2018 2月末 日本初のゼンハイザースポンサー契約締結、全国ショップがRush Gamingに
全国ショップへのパネル展開はもっとあとで5月とか6月だったかもしれませんが、ここではじめてチームとしてスポンサーが付く形になりました。
(本当はScuf Gamingという違うメーカーが付く予定でたくさん製品提供も頂いてたのですが、日本でScufは色々な理由で販売してもいけないし使ってもいけないので、こちらから降りた形になります)

ゼンハイザーをはじめ、私はスポンサーのロゴマークをユニフォームにつけるだけのスポンサードは、お互いにとって実りが少ないと思っている派なので、「プロゲーミングチームがスポンサーをうけたなら」みたいな記事を別途書こうかなと思っています。(それかセミナーでも開催したいなと思ってます)

2018年 4月 プロ対抗戦トーナメント開始
3月に告知があり、4月にプロトーナメントが開始され、招待された6チームが半年間戦って優勝賞金800万を争う事になりました。
半年で800万という数字はおいておいて、公式大会があることにより活躍できる舞台ができ、普段のYouTube活動にも大きなメリットがあるのではという淡い期待と、チームとしては興行に大きな期待をもちました。
そしてDay1,2は順調に連戦勝利。
チーム運営側は広報や営業活動に専念し、チームの練習やらは基本全くタッチしていませんでした。

2018年 5-6月 アメリカ遠征×三井住友カード スポットスポンサー契約
三井住友カード様のスポットスポンサーをいただけた事により、およそ約一ヶ月間のアメリカ遠征が実現しました。また闘会議に優勝したことにより渡航費もすべてカバー頂いていましたので、出た利益のほとんどは選手への動画制作へのインセンティブ等にあてました。
(ところでよくどうやってそのスポンサーとれたの、と聞かれるのですが、めちゃくちゃ素晴らしい担当の方々と出会えた奇跡と、最初はベンチャーらしく体当たりをしました。ビジネスコンテスト的なものにちゃんと資料を作って出して、という、とても懐かしい活動を大真面目にやりました。)

2018年 6月  CWL Anaheim 参戦、ぶち当たる世界の壁と、実力不足
毎日ご飯作って洗濯して、一緒にスーパー行ったり朝起こしたり、楽しい遠征でしたが、大きく現実を突きつけられたのもこの出来事が大きかったと思います。
CoDというタイトルは世界レベルでは非常に歴史が長く、日本は隔絶されていた為に実力差が非常に大きかったのです。
また、今まで自己流、ゆってしまえばアマチュアのゲーマーたちが、時間を決めて集まってプレイしていただけの練習スタイルからくる、本当のプロ達との知識差や、練習時の態度対応の甘さが明るみになってしまったのもアメリカ遠征だったと思います。
これもこれで別途なにかの機会でお話できたらと思います。

2018年 6月末 Day3、まさかの大敗・失速
さてもう信じられないくらい頭がいっぱいいっぱいになったチーム。帰国後本当に3日で迎えたプロ対抗戦 Day3で、日本チームに大敗してしまいます。当日まで気づきませんでしたが帰国後の自分たちのプレイに対する不安や疑心暗鬼は凄まじく、新しい知識や戦法に出会ったことによる成長痛に苦しみはじめます。この辺りから、勝利へのプレッシャーとストレス、Youtuberとの兼業というのが重くのしかかり始めます。

2018年 7月 アメリカ人コーチ契約
アメリカで出会った、信じられなくらい優秀な人材の獲得に成功します。実力的にはRushの数倍上で、分析力、ロジカルシンキング、戦略的思考などに異常にたけており、なおかつドキュメント作成能力が抜群というコンピューターサイエンス専攻のスーパーマンと契約します。
これまた良いストーリーがあるので別途記事を書きます。
なお、毎日毎日何千ワードという英語を必死に翻訳したのはとても良い経験だったのと、週2で英語レッスンを1年強ずっと受けさせているGreedZzも翻訳出来るようになっていたのはとても感慨深い成果でした。(Wekidsのサポート内容について、も別途記事にします)

2018年 7月   理想の「チームプレイ」を目指して取り組んだ「コミュニケーション改善」
コーチがついてから、試合中のコールアウトについてや、試合間での会話、コミュニケーションの質改善が始まりました。私、マネージャーのYuhi、そして新コーチ総出の改善プロジェクトの始まりです。メンタル面を鍛える為に、コーチ陣が本を読んだり(ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」 (講談社+α新書) 荒木香織  http://amzn.asia/d/iE5EfwJ )その内容を選手に伝えてみたり、コールアウト・コミュニケーションの質を上げるための、さながら部活動かプロスポーツ練習のような様相に変化していきました。

また、これ以外にも多くの改革・変化がすすめられたのがこの時期です。
「来年」のことを話し始めたり、見えてきた「日本人CoDプロゲーマー現実」を包み隠さず話し、またそれを踏まえた上での報酬や活動内容の見直しを行いました。報酬体系や活動内容(Youtubeとの兼業、事務所への出勤の有無、ゲーム内での役割と責任、ゲーム外でのその他仕事への関与など)についてです。こちら来期へ向けて更にブラッシュアップしていく予定ですが、去年までの体系についてはこれも別途まとめて公開予定です。

さて、あらゆる形で、実は他にも今までずっとあった「コミュニケーション課題」をクリアすべくあらゆる策を講じたつもりですが、

2018年 7月中旬  Nami選手脱退決定
2018年 8月上旬  Ngt選手脱退決定

というのが、行き着いてしまった結末でした。
またNgt選手は、Day4後に練習欠席が続き、そのまま脱退希望の面談となりました。

社員と会社、または社員同士の関係と同じく、うまくいかないということは、組織なのでどこでもありえます。
どちらが良いとか悪いとかではなく、あらゆる側面において高速で理想を追い求めた結果なので、寂しい気持ちも当然ありますが、普段社長業をしていると、これが一つの組織の側面であるとも思います。
両名に対しては、私個人そしてチームとしては悔いの無いサポートをしてあげられたと思いますし、両名からは、本当に一流の技術をもった選手としてこの期間素晴らしい活躍をしてもらいました。感謝こそあれど、恨みつらみは本当に何もありません。勝利という美酒を求めプロゲーマーを続けるもよし、現実を見て就職するもよし。幸せな人生を送ってもらえたらと思います。

尚、「プロゲーマーを目指す人へ」というテーマで、本シリーズの次回作は書きたいと思います。その現実を見て、どう思い、どんな覚悟を持って取り組んでいくのか、そんなことを書きたいと思います。

GP&Luke選手入団、やっと見え始めた「チームプレイ」
さて別々のタイミングで脱退が決まった2名のかわりに、急遽入団が決定した2名。GP選手はNami選手脱退決定のその夜に、「この日本で唯一今Rushにふさわしい男」として運営チーム側で即名が上がった選手です。
元プロ選手でもあり、またYouTube活動を文字通り「毎日」行っているプレイヤーで、「選手とYouTuber(コミュニティ活性化活動)兼業」が基本方針にある弊チームとしてはこれ以上にない候補でした。もちろん選手に別の候補がいるかという話も当然の相談としてありつつも、最終的にはGP選手へオファー、快く受けてもらえて感動しつつ、今まで本当にメンバー変更をこの瞬間まで1ミリも考えていなかった大馬鹿野郎だったので、ほっと胸をなでおろします。

しかし一難去ってまた一難、その2週間後くらいに急遽Ngtが抜ける事になり、ついに窮地に立たされ・・・たかと思ったのですが、ここで奇跡が起き、たまたま助っ人でWinRedが呼んできていたLukeくんとの相性がぴったり。一週間程一緒に練習していたのですが、相性がよく、チームの雰囲気や、会話内容、そして本人の実力も含めて、是非一緒にお願いできないか、という流れで新メンバーが加入しました。
(この奇跡がなければ、あやうく棄権するところでした・・・・・・)

さて最終戦まで残すは2週間。
必死の練習を重ねた結果、個々人能力のゴリ押しではない、「チームでのかたち」がようやく見え始めてきました。
尚、この「大改革時代」は、リーダーGreedZz選手がYoutubeの振り返り動画でも話してるように、非常に大きな心の傷と、ストレス、プレッシャー、眠れない夜を生んだ、まさに心身ともに人間を大きく変化、成長させる機会となりました。また同時に、それが起因して、ファンの方々へはなかなか生放送などの楽しいコンテンツを生み出す事ができなかった申し訳のない時期でもありました。(とはいえ必死に実施したポップアップストアは、非常に大成功に終わり、辛い時にこそファンの人たちの存在が大きなものだと実感でき、一体感を生むことに繋がったという話もあります)

ラストラン プロ対抗戦 Day5
対抗戦前の練習試合ではだいぶ戦績も良くなりはじめ、チームでの動きが出来始めてきたRush。しかしそれはプレッシャーが無い練習での話。配信外試合では残念ながらプレッシャーに打ち勝てず、敗北してしまいます。
しかし、ファンの皆様の前で行われた配信試合では、現在1位のDNGに3-1で勝利。
最後は有終の美を飾り、DNGさんは圧倒的な強さを見せRush以外に全勝、Rushは、DNGさんとサンシスターさんのみに全勝、という形で終わりました。

さて駆け足で1年で序章といいますか、ざっくりイベントをまとめてみました。この間、非常にうまくいったことと、歪を生んだこと、改善の余地があることと本当に双方多く、大変濃密な1年弱を過ごせたように思います。各種成功や失敗は、この2ヶ月内にできればより各種深掘りした記事をしたためたいとも思っています。

走りきった1年目。2年目から「株式会社Rush Gaming」として新たな挑戦へ

チーム運営はWekids社内ベンチャーとしてスタートした投資事業でしたが、今年10月を目処に登記し、新たな会社として再スタートをきります。
おかげさまでオリジナルグッズは800人近くの方にお買い上げいただき、トータルの売上は1000万を超え、スポンサー費も合わせ十分勝負が出来る道筋が見えてきました。
これを機に、改めて関わるコアメンバーに対してリスクとリターンの再設計をおこない、プロモーションや制作等のBtoBビジネスが主体のWekidsと、給与体系や制度設計を分け、目指す方向性の確立と実践を行って行く予定です。
社内ベンチャーとはいえ、WekidsのCSR的な側面からあまりにも抜けられない優しい経営体制の見直しと、本当に持続可能性があり社会に役立つ組織にしていく為、必然の取り組みだと思っています。

また少々誤解が多い部分ではありますが、あくまで新会社も親会社も、共に代表権は完全に私にあり、経営意思決定権は引き続き私がもつこととなります。ですが、100%オーナー会社のWekidsと違い、Rush Gamingは、GreedZzを始めとする数名が株式を持ち、共同創業者兼取締役陣として初期Rush Gamingを共に成長させて行きます。

そんな若い無知な子に株なんてもたせて、、、っていう古い考えの方もいらっしゃるかと思いますが、税金やあらゆる基礎知識が無くても、人は必要性が出れば勝手に学ぶものだと私は思っています。
株式を保有させることにより、「もし」の話が理解しやすくなるでしょう。
現在はあくまでベンチャースポーツ企業のほうがイメージとして近いですが、esportsスタートアップとも捉える事ができます。スタートアップですので、資金調達及びEXITも意識しないこともないです。もし、Rush GamingがOpTic Gamingのように別会社に株式を買収されることになれば、持ち株の比率に応じてこれまでの苦労がキャピタルゲインの形で還元されることになります。
逆にキャピタルゲインなどに至らなかったとしても、今まで通りベンチャー企業として純粋に売上利益を上げていき、独立企業として自由な経営と、自由な生き方の採択も可能です。それらは、「ゲームを通じて、より多くの人へ感動体験を届けたい」という理念に即していれば、その時々で一番良い選択肢を取ればいいだけのことと、私は思います。

※資金調達は、現在キャッシュではあまり困っていないのと、大きく調達してもできることが少ないので考えていません。Wekidsにおいてもそうですが、仲間になっていただきたい方たちに一部株を持っていただくという意味での調達はいつも頭のどこかにあります。私の基本経営方針は、人の金で挑戦する前に自分の金で汗かいて学べなので、同様に後輩たちにはそのいいところだけ吸収して欲しいなと思います。

Call of Duty以外のタイトルへの進出はありえるのか

去年のWekids内での話においては、全く考えていなかったのが本心です。が、株式会社Rush Gamingとなり、1年やった上での学びから現在は考えを変えています。いわゆる「選手公募」は引き続きやらない方針ではありますが、かつてGreedZzやHASESHIN, Rush CLAN esports部門と出会った時のような「人的魅力」「組織的魅力」を感じたプレイヤーやチーム、ストリーマーの方々と、ご一緒できるようになれれば本望です。タイトルとしては、フォートナイト、クラッシュロワイヤル、ストリートファイター・鉄拳などの格闘ゲーム、リーグ・オブ・レジェンドなどが、弊社として関心の高いタイトル郡になります。おすすめの方がいらっしゃったら是非教えてください。笑

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だいぶあつくなって長くなってきましたので、続きはまた次回にしようと思います。長々とお付き合いいただき、誠にありがとうございました。


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西谷麗@アメリカ暮らし1年生 / Rush Gaming
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