見出し画像

日本アプリがガチャ依存から抜けづらい理由

フリーゲームプロデューサー、うきょうです。

今更言うまでもありませんが、
現日本の法人開発のアプリゲームにおいて、
売上比率はガチャがメインですね。

日本アプリゲームのトップ150にいるうち、
約90%以上のアプリの課金比率が
ガチャで成立しています(2020年10月現在、
GooglePlayのランキング等を参照)。


各アプリの売上げ比を分析すると
だいたいこんな感じですね。


①ガチャ:約90%以上

②スタミナ回復、ポイント回復系:5%

③時間短縮系などのメニュー

④アバターなどの1回買い切りアイテム

⑤ランダム型強化のための消費アイテム
⑥期間課金メニュー

⑦サブスクモデル



※今回ゲーム以外の課金モデルについてはあまり触れません。ゲーム以外とは、アプリ広告の売り上げ、グッズ、その他ビジネスモデルでの課金。


現時点ではまだまだ
①のガチャ比率が高いタイトルが多いですが、

ここ最近、2020年度の変化としては
海外タイトルの勢力が
日本アプリ市場を席巻し始めているだけでなく、
ガチャ依存からの脱却ケースが
少しずつ目立ってきた点で
した。

一部タイトルでは売り上げ構成比で
ガチャの依存は6〜7割りのものもあり、

その他のサブスクメニューや、
一部ガチャには近いですが、
ランダム型強化アイテム等、
買い切り商品型の売上比率が
高い事例もでてきています。

しかもこれが日本タイトルではない
というところが味噌であり、

日本のアプリタイトルは
完全に開発規模、
商品設計のアイディアベースでも
中国や韓国の巨大タイトルと比較して
商品力が脆弱になっている
気がします。

ただこれにはいくつか原因があると思っています。
今回はそれに触れたいと思います。


日本アプリの新規開発は
いまだガチャモデルを捨てづらい理由

日本でガチャ比率が高いアプリが
多い理由はいくつかあります。

①ガチャ以外の販売モデルを落とし込める
 ゲームデザインが日本制作会社の
 開発規模と見合わないし、不足している
アイディア、制作コスト、開発者の数共に不足。
ビジネスモデルを変えるとゲームデザインにも
影響を与えます(詳細は後述)

②「①」を容認できる余裕がない(心も金銭的にも)

③日本だけで最低限の売上を確保する
 算段を計算しがちになる

 少人数でも課金単価で売り上げ調整がしやすいので
 事業シミュレーションの皮算用がしやすくなる。

④仕掛かり案件が多すぎていろいろと手を出しづらい
一番手堅いガチャ依存がシミュレーションしやすく
そちらの方がGOを出しやすい。

⑤一発逆転を夢見る少女いる

といったような事例は実際に体験してきた
身としてもよくある話です。

嘘か本当かは置いておいて、一発逆転を
夢見る人が多いのもマジで事実です。

普通に考えれば、コンシューマーゲーム制作で
一発逆転ってありえないんですが、

なぜかスマホだと一発逆転になるのでは?と
思っているような人が
経営者層にもいるのが不思議ですね。


ガチャ依存しない
ビジネスモデルは何が必要か?

ガチャに依存するゲーム性の採用は、
上手くいく、いかない関係なく、
事業予測レベルだけで

③日本国内だけで最低限の売上を確保する
 算段を計算しがちになる


のがよくも悪くもあると思っています。

一言で言うと日本以外での経験値が足りない、
に尽きるのですが、まぁそこは半分
仕方がないところではあります。

そうするとどうなるのか?ですが、
プロデューサーや事業責任者は
知っている知識内だけで
なんとか整合性を取ろうとするので、
無難な事業計画ができてきます。
(これもシンプルに経験不足から
引き起こされる部分ではありますが・・・)


過去の事例や他社の事例を参照して
はったり計画書を作りやすいという事も
理由の1つとしてあげられますね。


ガチャに依存しない
ビジネスモデルを作れるのか?

では仮に、スマホのアプリゲームを
法人規模のお金をかけて、ガチャに依存しない
タイトルを作ろうするとどうなるのか?
ですが、
基本的にはコンシューマタイプのゲームデザインを
作ることに近いとイメージしていただければいいです。

※スマホゲームとコンシューマゲームのデザインは根本が違いますが今回は端折ります

そうすると、いろいろな変更点が浮上します。

①莫大な数の集客
課金単価はガチャ中心のゲーム設計よりも
低くなるため、相対的にガチャモデルよりも
集客に力を入れ続けなくてはならないこと。

②ガチャ依存ではないゲームデザインとフロー体験
ガチャモデルのゲームデザインと、
家庭用ゲームはゲームデザインが
根本的に違います。フロー体験、
ストレスの与え方、感じ方、
ソフトウェア自体が売れる理由、
継続する理由なども全然違います。

ここがわからないと面白いゲームを
作ることが難しくなるのですが、
アプリ開発出身者の場合は
これがデザインできる人が極端に少ないです。

実際私もこれを作れと言われたら
相当頭を悩まします。
ジャルによっては無理レベルです。

③複数の収益ポイント
ガチャ以外の収益ポイントを
多数散りばめる必要、
または特定の収益ポイントに
誘導する工夫や仕掛けがたくさん必要です。

いろいろと理由はありますが、

一言で言うと、
コンシューマゲームのゲームデザインと、
スマホゲームのゲームデザインを言語化できる人、
双方のビジネスモデルを把握できる知見がある
ハイブリッドチームが必要になります。

しかしそんなレアモンスターはほぼいません。

これらの理由もろもろが結果的に
ガチャ依存型のアプリ設計になりやすい、
企画が通りやすい原因でもあります。

2020年になってからはほぼ見切り発車案件はなくなりましたが、それでもまだまだガチャモデルのアプリゲームはこれからも続きます。


ではどうするべきか?

シンプルです。

やるならまずは経験者に助言を仰ぐこと。

経験者をチームとして参画させること。

小さくテストを行うこと。

国外を視野に入れること。

などです。

まずは社内でもいいのでプロトタイプ開発の
期間とテストコストを容認いただくことです。

それを経て、
場合によっては巨額を突っ込んで、
ハイリターンを臨むのではなく、
小〜中程度の売り上げを積み上げていく
事業計画と開発規模で進めていく
手法も1つとしてあります。


今後のゲーム業界の未来はどうなる?

数年の内に日本からリリースされる
ガチャ系ゲームアプリの本数は
極端に少なくなるのは自明です。

それはシンプルに商売にならないからです。

結果としてどうなるのかについては
小規模、中堅サービスがSteam、家庭用、
海外で同時展開されていくと同時に、
アプリ側では買い切り型も多くなるはずです。

本来開発者はやりたいことをやりたいし、
リスクを抑えて楽しいものを作って
楽しんでもらい、

それでもって最低限の利益を得て
また再び作りたいものを作るという
創作活動の継続が最大の喜びであり
自分にとっての最大の報酬
と考える人も多いので、
自然と増えていくと予測するからです。

実際私も最近はそちらの視点の方が強いので
ガチャで大規模でドーンというよりも
小さくても特定のファンに届けられて
創作活動を継続できることに主眼をおいてます。

実際問題これを継続できれば
利益もお客様も積み上がりますので
そういう事例を増やしたいとも考えています。

PS.ガチャが悪いわけではない

誤解しないでほしいのですが、ガチャが悪いわけではなりません。ガチャモデルではありながらも良心的なサービスを提供するゲームや会社はたくさんありますし、ファンが多い納得して購入しているサービスもたくさんあります。

どちらかと言えば、ファンとの関係性を大事にできるサービスが理想的なので、そういうサービスを1つでも多く増やしたいですよね。


【執筆者:うきょう】
自立を目指す方へのビジネス全般をサポート。
経営者・事業者向けに売上コミットをサポートする社外プロデューサー&ディレクター|PlayLife代表|売上向上講座を毎週開催|ゲームプロデューサー21年。日中台韓で50作品以上リリース、Han Game売上No1実績|Softbank〜LINE出身|代表作:チョコットランド、アトリエオンライン

Twitter DM( https://twitter.com/ukyoP_san
または yasutaka.ikeda@playlife.jp まで
お問い合わせください。

▼公式LINE
マーケティング、採用、組織化、ビジネスモデル、集客などについて配信しています。(登録特典:50日で5000フォロワー増やしたTwitter戦略)
https://lin.ee/eEYRERB


いいなと思ったら応援しよう!

うきょう|フリーゲームプロデューサー兼マーケッター(株スタジオデルタ代表)
いただいたサポート費は還元できるように使わせていただきます! 引き続き読んでいただけるような記事を書いていきたいと思います。