知らないと損する。フリーランス、イラストレータが仕事を請ける時に知っておきたいこと
うきょう(@ukyoP_san)です。
主に経営者向けの集客、販売戦略、商品戦略、仕様設計などを行っている、ゲームプロデューサー兼マーケッターです。
私は仕事柄、国内外含め、外部のイラストレータにデザインを発注することがとても多く、国内外のイラストレータ様、100名以上とイラスト業務のやりとりをさせていただきました。
また、それ以外ではゲーム自体の開発契約、運営契約、売買契約、運営委託契約等も数多くこなしております。個人クリエイター、またはデベロッパーがパブリッシング契約を締結する際にご確認ください。
私は発注する側ですが、お仕事を請けていただくイラストレータさんの中には非常にあぶなっかしい仕事の進め方をしている方がいます。
どうあぶなっかしいのか?ですが、「いつか悪い人に搾取されるだろう」というお仕事のされ方をされている方ということです。
そして、実際に知人がそうなってしまったのです。
しかも一人だけではない。
起きたトラブルは・・・
といったようなものでした。
この辺のトラブルを防ぐためには、しっかりと契約や発注内容を確認しないといけません。ただ、イラストレータ は純粋でピュアな人が多いので、商慣習やら法律やらにそこまで詳しくはありません。
私は友人に対してもそうですし、フリーで働くイラストレータさんに対しても、このようなトラブルを減らして欲しいと願い、今回の記事を書こうと思いました。
しかしこれは発注側にももちろん責任があるわけですが、発注側もよくわかっていない人が多かったり、あえて悪意をもってイラストを発注すると言ったケースもあります。
ですから、私たちはしっかりとした知識や対応方法を知っておくことが必要です。
そこで今回は、「フリーイラストレータさんが仕事を請ける際、知っておきたいFAQ」を記載させていただきます。
【A】必ず確認しておきたいこと
❶発注する会社と担当者について
いずれにしてもこれは基本中の基本です。メール、SNSのDMなどで連絡をすることも多い昨今ですが、必ず下記の要素は最初にいただきましょう。
・相手方の会社名とHP
・担当者名(本名)
・会社ドメインのメールアドレス
・電話番号
連絡してきた人が変なハンドルネームであり、かつ「イラストおなしゃーす! まずは無料でトライアルしてもらえませんか?」とか送ってきたらどうしますか?
付き合うのは危険です。
連絡先をいただいたいたら、会社をまず調べつつ、その担当者の名前をまずはネットで検索してみましょう。少なくとも会社名が出てこなかったら割とアウトです。
補足)発注元か代理店かを確認する
続いてその会社を調べてみて、実際にイラストを発注する発注元なのか、それともイラストレータの管理を任されている代理店、またはクラウドワーク系のとりまとめ会社なのかを調べましょう。
なんでこれをやるのか?ですが、発注元が大手の場合は信頼度が高いので問題ないと思いますが、代理店や仲介業者の場合は怪しいところもよくあるからです。
その点もチェックしておくといいです。もし知り合いの中に、この会社知ってる?とか評判を調べてみるといいかと思います。
【B】メールで事前に確認しておく内容
では実際仕事を請ける際ですが、少なくともこの辺りは確実にしてから仕事を請けましょう。
悪意がある取引先の場合、契約前の仕事はお金にならないなんてこともよくあります。
また、大事なことはあえて電話で伝えて、書面に残さないなんてこともあります。受発注の有無は、メールでいいのでテキストでもらいましょう。
❶受ける内容、納品形態、利用範囲
a:どのようなプロジェクトか?
いつ発表なのか(情報解禁日に影響するため)。
どのような使われ方をするのか。
複数の作家が参加するのか、単独なのか。
サービス地域は日本以外でありえるか。
b:何枚作るか、作る内容は何か?
人物何体、背景込みか?建物有りか?
人物、背景のクオリティは参考がどれか?
c:制作仕様
・サイズ(ピクセルかmmか)
・解像度の指定があるか
・色の仕様(RGB、CMYK)
・納品のファイル形式(psd、ai、jpgなど)
・納品の方法(メール、配送)
d:利用範囲
・使用される機種
ゲームの場合はだいたいどこで使われても同じですが、声優さんの場合だと機種の範囲によって料金を追加してくるところもあります。
・使用される媒体
広告で利用する場合は別料金なんてこともありますが、指定しない場合は特に指定なしとしましょう。
e・利用配信する国
実はここが結構シビアにみないといけない部分です。イラストレータのバリューは著名であるほど影響力は大きいため、日本国内利用とそれ以外の地域で別料金を請求することも可能です。
あらかじめグローバルに展開することを想定したプロジェクトであればそれも含めた料金設定を申請してもいいかと思います。
f:注意事項
左右反転の利用不可
加工不可、トリミングはOK
レイヤー分けする範囲
イラストの利用方法(加工した二次利用不可など)
トンボの有り、なし
自社媒体で告知していいか
❷料金、支払日
相手が大企業の場合、下請法が適用されるので確実に支払いがされます。ただし中小企業の場合は適用外になるケースがあるため、そういう点でも、資本金1000万円以下の中小企業から仕事を請ける際は要注意です。
a・支払日
基本的に納品して受領いただいた翌月末
b・料金
これはできる限りめちゃくちゃ厳格に決めておきましょう。
イラストでも密度、人物の数、表情差分、クオリティ(装飾の多さ)、背景のイメージ、レイヤー分の有無、レイヤーで見えないところの描きこみなどなど。
c:料金提示の仕方、相談方法の例
料金提示で失敗しない方法は、ある程度業界標準で考えることです。そのためには受注する側もある程度フォーマットやサンプル、料金表の目安があると発注側もイメージしやすいので助かります。
そして業務内容についてしっかりと確認して、齟齬がないと判断したら提示しましょう。
❸受領条件とリテイクの条件
イラストはよほどの大御所出ない限りは、チェックと修正があります。その点に関しても、できる限りチェックは段階的に分解して、その範囲でのリテイク回数、途中キャンセル時の料金イメージまで設けておくことが重要です。
例えばこのような事例で提示すると言った感じです。
といった感じで段階的にチェックいただき、可逆する場合はリテイクの範囲とし、リテイクにも料金がかかることをあらかじめ提示しておくと理想的です。
例えば、完全やり直しは別料金。
段階レベルで打ち切りの場合は、そこまでの料金を%で請求するなどもあらかじめ書いておくと理想的です。
❹著作権と利用用途
これは❶でも少し触れましたが、基本的には発注側は著作権含めて買取を希望されることが多いので、買取前提で考えておくといいと思います。
ただ、利用用途に関しては明確に定義しましょう。
上でも少し触れましたが配信する国、媒体、利用するサービスタイトル、
グッズ等、二次利用を含めた利用の範囲など。
いつの間にかエロゲーで使われていたり、別のゲームで勝手に使われたり、変な怪しい広告で使われていたりすることもあり、本人の意図と違う使われ方をする場合があるからです。
この場合は利用範囲外なので料金を請求しましょう。
❺サポート期間
瑕疵担保責任の定義もそうですが、サポート期間についても明確に定義しましょう。
例えば、制作した納品物について、製作者が善意(知らなかった)であったとしても、何かのサービスに酷似していた場合、リリースができなくなりますので、修正しなきゃいけないよね、とかですね。
よくないのはサポート期間無限。修正条件や回数も無限もあまりよくないです。
❻解除・解除条件
解約・解除についても明確にします。
あまりにも不利な条件で仕事をさせられたりする場合や、責任を押し付けられたりする場合など、契約の必要はありません。
そんな時はこちらから解除ができる逃げ道は必須ですから、入れておいた方がいいですね。
❼損害賠償・自分が不利益を被る際の補償
こちらは上にも少し書きましたが、自分のイラストが勝手に別のゲームで自由に使われていたとか、自分のイラストを意図しない形で利用されていたとか、SNSで関係者が悪口を書き込んでいたとか、自分が不利益を被った場合などのケースです。
ここまでいくと基本的には弁護士さんの出番になるので、そういった一文を入れておく感じです。
❽発注側が気をつけておくべきことは
発注する側も受注する側と同様の注意すべき箇所は同じで、希望に沿った役務を提供してもらうためにいろいろなことを定義しておきましょう。
8-a:役務を提供されないで音信不通になった場合は?
実際問題これよく有ります。
私も数多く経験してきましたし、これは誰かに委託する場合(社内・外含めて)もありえる状況です。
この事例が起きると契約書に入れようが入れまいが、進行不能になります。一人の方のみに労働集約させすぎるのはリスクが高くなる点も留意しつつ、リスク回避できるように計画しておくことも大事です。
補足)情報の管理、重要度について
※これは発注側が求めてくる場合があります。
請け負うお仕事の情報は厳重な管理が必要です。イラストレータさんの場合は「秘密保持契約書(NDAと言います)」を結ぶことはあまりないかもしれませんが、たまにこの書面の締結を希望される場合があります。
これを受託側が結ぶメリットがある点は、お仕事の状況、結果も含めて口外されないように書面を調整することです。
ただ書面の確認、押印、送付という手間がかかりますが、特段ここで不利な契約が結ぶばされることはあまりありません。