見出し画像

四姉妹似てる:細雪と若草物語

谷崎潤一郎『細雪』
オルコット『若草物語』

両方とも女性ばかりの四姉妹が主人公になっている作品です。

姉妹の構成が似てる。

長女(鶴子/ メグ)
早い段階で結婚している。家庭的。
次女(幸子/ ジョー)
実質上の主人公。行動的。
三女(雪子/ ベス)
彼女の運命が作品の転機。物静か。
四女(妙子/ エイミー)
新しい価値観で行動する。おきゃん。

大体こんな感じで性格が似ています。

『若草物語』の発表は1868年。『細雪』の発表は1943年。『若草物語』のほうが75年早く発表されています。

検索した限りでは『細雪』の資料に、『若草物語』の影響を受けたという記述はなく、直接関わりがあることはなさそうです。

完全に偶然とすれば、四姉妹の性格、と言うよりも、ポジションが似てるのは面白い方です。

保守的な時代を象徴する人、一家を支える強い人、内向的で物語テーマを持つ人、新しい時代を探しに行く人、そういう個性が四人の中にある感じ。

戦争を背景とした大きな変革の時代に、彼女たちに様々な試練があります。違う性格の女性が、違う境遇に置かれて、どういう行動をとるか。

どちらの作品も、それぞれの女性がとても魅力的に、温かい目で描かれているのは同じです。

全員が全員ハッピーエンドを迎えるわけではないけれど、それぞれの個性に素晴らしい価値があると作品は伝えています。

気づいた時は、本当に偶然なのかなと疑問に思ってしまいましたけど、それぞれの作者が4人の女性を描こうとして、なんとなく共通点が出てしまったとすれば、これは人格を描写するための普遍的な構造なのかもしれませんね。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集