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推薦図書『デーミアン』

『デーミアン』。ヘッセ。ヘッセほど日本の文学少年少女になじまれているヨーロッパの作家はいないんじゃないかと思います。「なじまれている」っていうのがポイントで、愛されているとかよく読まれていると言うよりも文章が綺麗なので翻訳小説であることを気にせずにスイスイ読めてしまう感じ。

ヘッセと言えば『車輪の下』。これが1番有名ですが私のオススメは『デーミアン』です。あーちなみに666のマークのついた悪魔映画のダミアンと違います。

『デーミアン』は第一次大戦前が舞台。少年時代の主人公が世界のインチキに気づくところから始まります。何もSF的仮想世界だったとかじゃなくて、お父さんお母さんたちと教会に行ったりきちんとした服を来たり、そういういいおうちの坊ちゃんである一方で、ガキ大将達と付き合ったりメイドさん達の猥雑な話を耳にしたり…

教会で教えているのが真実のようで…少年たちにそう思い込ませるように説いているけど、綺麗事の世界とそうじゃない世界がこの世にはあると気づき始める。感受性が強い男の子の人生の出発点。そうであることくらい、みんな気づくじゃないか、と言われると、私はそうでもないと思います。清らかな方ばかりにいたり、チンピラっぽい世界ばかりにいたり…それはあるとしても、自分の居るほうがだいたいこの世の真実だと思ってしまいがちです。

悩む主人公が友人関係ですごいピンチに陥った時に助けてくれたのが年上の理性的な友人、マックス・デーミアン。人クレールは彼に助けてもらうだけでなく人生の真実を教えてもらい……いや、人生の真実を求める方法、人生の真実を求める考え方かな。

詳しいストーリーを書かないようにしようと心がけても、思ったより長くなりそう。分けますね。

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