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生(いのち)を 想う

春の日

回復期リハビリ帰り 気がつくと そこに居た
街中の小さなギャラリー
何年か ぶりである。
オーナーが 呟く
“大変だったのに 良くぞそこまで”....

いつもの台詞を言っている
“手あります 足あります 動きます”

俗世間では 死んだ人に
なっているらしい…

“今日 作家は 居ないんですよ”

“居ないから 来ました 
アトリエで いつも話してるから…“

”魅せてくださいね“

数年前
作家の初めての個展に お邪魔した
主題の作品に  一目惚れ
連れ帰った

作品を 眺めて歩く

アトリエで
作風と 線が 力強くなったから
尋ねてみた。
”目を 瞑って 描いてます…”

“お茶 入りましたよ”
オーナーは 呟く
作品を 眺めながら 色々な話をする

ギランバレーの事
リハビリの事
作家の事
.....

以前に ここに相談に 来た事がある

アトリエで 観た大きな大きな大作
頭から離れ無くて....
果たして 私が手にしても 良いものなのか?

オーナーは 水屋の扉の前に立ち
目を輝かせながら言った。

“このアトリエには 宝物がある
駆け出しの彼は このドアに
向き合って この作品を描いてた。
その姿をみた時に 感じた
この子は 描きたくて描きたくて
手が 勝手に描いているんだなと”

その言葉を聞いて 大作は
我が家に やって来た

“珈琲 入りましたよ”

いつしか 深い話に
作品の持つエネルギーの話に

そんな 感じ方を する人は
極々稀で....

“何度も 死んでますからね“

”あ これ預からせてください“

驚く オーナー

やっぱりなと安堵される....

作家さんから
メッセージが入っていた

“貴方のところへ 呼ばれて
嬉しく思います”

持ち物は 
携帯一つで迎えられた 
仙人界(急性期病棟)

枕元に 掛かる何気ない一枚

朝 目覚めれて 眺めていた 50日

生を 繋ぐのに 助けてもらった

作品展も 終えた今
そろそろ お迎えにあがるかな…

作品展 “生” に寄せて

渡辺悠太 Instagram

ギャラリー イマジン

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回復期リハビリテーション
生(いのち)を 想う


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