大雨の中 回復期リハビリテーション病棟へ ギランバレーに恋をして
朝目覚めれて
外は 大雨….
回復期リハビリの日だ….
紫陽花が頭を垂れるくらいの
大雨の中 向かった
“いかがですか?”
いつものように 微笑む 主治医。
“先生 鮎漁師始まって
半日 綱打って 戻って
昼から寝込んで…
体力付けようと 投網7.5キロにして
打ったら 全身筋肉痛で 気が付いたら
腕の筋肉 落ちてしまって….
骨触れます….”
主治医は驚きながら 呟く
“負荷は 軽く 程々に
心地よいゾーンに 居てください
梅雨ですし”
スパルタリハビリのゾーンが難しい…
では リハビリ行って来てください。
ニコニコと送り出される。
主治医のニコニコが手のひらいっぱいの
薬より
一番の薬である
四階の回復期リハビリテーション室へ
エレベーターの中
車椅子の人
疲れきった人…
皆さん それぞれを生きている
久しぶりの作業療法のリハビリ
リハビリ室へ
入院中 お世話になった機器が並ぶ
“写真撮っていい? 田園界”
筋肉フェチSに尋ねる
この景色を 三ヶ月毎日毎日 眺めていた。
申し送りのカルテを読んだ Sは呟く
“なんだか 最悪みたいですね”
“そう 先週全く顔動かなくて
代償も 効かなくてまた 能面に..”
鮎漁師始まって 負荷増やそうと
投網重たいのにしたら.....
腕の筋肉 落ちてしまって....
腕を触り 引き攣るS…..
“骨触れるやないですか? 最悪”
でしょ….”
やっぱり 筋肉痛は 御法度だなと…
色々な 話をしながら 施術をしてくれる。
“一家に一人 筋肉フェチSやな”って
マニアックな筋肉達のアンバランスな状態を的確に
フラットにしてくれる。
“浮世雲さん 言葉にすると そうなって
しまうから 怖い事言わないでくださいね”って 釘を刺される。
あはははと 笑って 引き継がれる。
次は トトロへ
“今日は 取り調べ室へ”
トトロは 呟く
カレンダーを観ながら この一週間の
話をする。
言語聴覚士のトトロは 呟く。
“相変わらず最悪ですね”
トトロは ストレートである。
そう 顔の調子が悪い….
“昨日 カレー上手く食べれなくて”
なかなか 重篤である。
トトロの手は アイロンのように熱い。
その手で 顔を解して行く
そして 氷の棒を ゴリゴリと 当て解す。
“いの口で えを言ってます”
トトロは 顔を曇らせる
トトロが悩んでいる….
どうしたら良いでしょね….
“まあ 梅雨明けたら 動きだすよ”と
呟く
相変わらず 取り調べ室で あいうえおを 練習しているのである。
“なんだか 福笑いみたいやね”
二人で シュールに 笑う
リハビリ室でのセラピーが終わり
一階のフロントへ
“浮世雲さん短冊描いて行ってくださいよ
まだ 誰も描いてくれないから”
事務員さんに 呟かれる
これもリハビリである。
“ペン持てなくて
文字書けなかったんだから”…
“早く よくなりますように 浮世雲”
ベタな 言葉だけど….
“奇跡なんて 起きないよ
細やかなリハビリの 積み重ねあるのみ”
って 呟きながら…
流石に それは 描けない…
七夕飾りに 付けた。
事務員さんが 語り出す
病棟には 大きな大きな 笹が
置いてあるそうだ。
“部屋の前に でっかいクリスマスツリーは あったけどね”って
回復期リハビリテーションは
生活の一部になっている。
日常
ついつい 調子に乗って
ギランバレーに恋をしている事を
忘れそうになる
まだまだ 体力気力は
以前の985分の1くらいで
今だに あいうえおの練習しては
いるけれど…..
ギランバレーに恋をして
回復期リハビリテーション病棟へ
誰も ここに来るなんて
夢にも思わなかった場所
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