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“あと一歩は 止めておこう" 鮎漁師の呟き
朝目覚めれて…
寝汗に溺れるほど
夢見の悪い日々が続く
省エネのし過ぎか 断捨離の影響か
あれやこれや雑事を片付けても
テンションは上がらない
俗世間 摩訶不思議な事が起きるもので
消えた宅配便は 見つからない...
月曜クーポン映画 1100円に
惹かれるも 身体動かず
また モニター眺めて
撮り溜めた 写真を捨てている
外は相変わらず 猛暑
夕刻 夕餉の肴を獲りに 川へ
まだまだ 高水
スパルタリハビリの始まり
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網が浮かないように 玉錘の重たい投網を 打って行く
“良い鮎だ”
激流の中 耐えた鮎を 今宵の宴に
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次の漁場へ
また
次の漁場へ
鮎漁師のお爺は 呟く
三日前は300匹
今朝は50匹と....
相変わらず 元気なものである
漁場を譲る
“流心に良い鮎いたぞ”と
呟く御爺
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流心に向かう....
が?......
あと一歩は 止めておこう
足裏に 浮遊感を 感じる....
歩みを止めて引き返す
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夏の疲れか....
嵐以降
調子が出ない....
あと一歩 歩みを進めたら
きっと 身体は 浮いて巻かれて
叩きつけられて....
今宵の宴の鮎
いつもは 出さない
鮎の腑を 一匹一匹 出していく
嵐を生き抜くのに
鮎達は たっぷり砂を噛んでいる
夕餉の肴
鮎の踊り喰い
“今日は 腑を出してあるから”と
皿に盛る
坊達も 頭から齧りついている
それでいい
何気ない日常
平安な暮らしをする縄文人
鮎漁師 浮世雲
スパルタリハビリほどほどに