本の記憶#4 フル・ムーン マイケル・ライト編
子どものころ、キラキラしたものが好きで、特に、星を眺めるのが好きでした。
当時は、渋谷に五島プラネタリウムというのがあって、よく親に連れて行ってもらいました。
天体望遠鏡がどうしても欲しくて、親にねだったのですが、高価なので買ってもらえませんでした。
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「宇宙のことを考えれば、小さな悩みなんて吹っ飛ぶぞ。」と、誰かに言われたことがあります。
そんでもって、宇宙のことを考えていたら、「自分は何者なんだろう」と思い詰めてしまい、恐怖のような不思議な感覚になって、むしろ余計に悩んことがあります。
たしかに、小さな悩みは吹き飛びましたが・・・。
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僕は、宇宙人はいると思っています。
生命が誕生する確率は限りなくゼロに近いんでしょうけど、それ以上に宇宙は無限に広い。
ゼロと無限大の掛け算は、きっと何かしらの値に収束すると思っています。
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小学生当時、家のポストには、進研ゼミのチラシがよく入っていました。
勉強をがんばって、進研ゼミのポイントを貯めれば、景品がもらえる仕組みになっていることは、子どもでもすぐに理解できました。
その景品に天体望遠鏡があったのです。
だから、僕は、「進研ゼミに入会させてくれ」と、親に頼んだのですが、入会させてもらえませんでした。
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大人になって、ヨドバシカメラをふらついていたら、天体望遠鏡のコーナーがありました。
高価で手が届かないだろうと思いつつも、何気なく眺めていたら、初心者用であれば、決して、買えない金額ではありませんでした。
あこがれのビクセンの天体望遠鏡。
僕は、その入門機を手に入れました。
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月の満ち欠け、惑星の位置、時間、方角、天気・・・。
これらを気にして日常を過ごすことになるなんて、思ってもいませんでした。
手にした天体望遠鏡で、初めて見たのは「月」でした。
接眼レンズを覗くと、月の表面が、視野いっぱいに広がりました。
クレーターが、はっきりと見えました。太陽に照らされて、陰影ができていて、月の表面の凸凹が浮かび上がっている。すごい。想像以上。超リアル。
今、この瞬間、自分の肉眼で、約38万km離れたお月さまが、手に取るように見えている。
そう思うと、感情がうずき、やはり不思議な感覚になりました。
それにしても、あの月まで、行って帰ってきた人がいるんです。
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僕は1冊の写真集を持っています。
月の写真集です。
撮影者は、なんと、アポロ計画の宇宙飛行士たち。
だから、”月で撮った” 写真なんです。
月から見た地球の写真があります。これがとてつもなく美しいんです。
その景色を見て、僕らは何を思うのでしょうか。