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雑節 土用
四季、二至二分、八節、二十四節気、七十二候、五節供…暦の中の節目には、様々な分け方や暦日といわれるものがあります。
その中のひとつ「雑節」(ざっせつ)
雑節は、二十四節気に含まれない節目のことを指していて、節分、彼岸、社日、八十八夜、入梅、半夏生、二百十日、土用がここにはいります。
雑節のうちの一つの土用の期間が、2022年は4月17日から立夏の前日5月4日までの18日間となります。
土用は、春夏秋冬、一年の中で4回やってきます。なので、今回は、「春の土用」です。
みなさんがなじみ深いのは「夏の土用」かと思います。
土用の丑の日にうなぎを食べる風習がありますが、その土用というのは、この土用という期間のことを指しているのです。
土用とは
では、土用とはなんでしょう。
土用は、五行に由来する暦日と言われています。
土旺用事(土の気が旺んになり事を用うる) 略して 土用、土の気が盛んになる期間のことです。
木火土金水。これが五行です。
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木に春、火に夏、金に秋、水に冬が属しています。
土は、各季節の前の約18日間とされ、土用を当てはめられています。
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五行は、繋がっています。
めぐりのお話です。
春夏秋冬、木火金水を繋がっている、全てと手を繋いでいるのが土の存在です。
土用は、次の季節の準備期間ともいわれます。
季節の初めを、立春、立夏、立秋、立冬といいますが、例えば、立夏をむかえたからといって、その日から夏!!となるわけではありません。先日も、30℃近くまで気温が上がったかと思いきや、次の日は15℃にも満たず、行きつ戻りつしながらも、進んでいくのが季節というものです。
よーいドン!で、全力疾走すると、足がつったり、アキレス腱が切れちゃう。
いやじゃん、そんなの。
走る前には、準備運動しなくちゃ。筋、伸ばしておかなくっちゃ。
そんなときが、土用と思ってもらえるといいかなと思います。
土用の期間
土用には、土を司る神様 土公神(どくしん)が土に宿るといわれています。
そのため、土を動かしてはいけないと言われます。
今でも、土を掘り返したり、引っ越しなどは、避けられる傾向にあります。
私個人としては、きっと、いつもいらっしゃると思うのですが、土用の期間は、力が盛んになるということでしょう。
(ここからは、私の考えです)
春には春らしく、夏には夏らしく、木気を感じるような過ごし方を!というのに、土の神様がいらっしゃる土用期間に、土を触るな!といわれるのか…ということです。
せっかくいらっしゃるのなら、触って、愛でたほうが良さそうな気もします。
神様を祀る方法、といいますか、大切にする方法は、大きく分けて2通りあるかなと思います。
ひとつは、音楽や踊りを奉納して、盛大にお祭りする方法。
もうひとつは、静かに厳かに、そこに鎮座される神に祈る方法。
日本では、後者の方が多いかもしれませんね。
また、五行の中の土を考えてみると、性質は稼穡(かしょく)。
稼穡とは、種を植えることと収穫をすることの意味。
全ての生きとし生けるものは、土の上で生かされています。
生まれ、育ち、死す。そのサイクルを、ずっとずーっと見守り、最後、看取ってくれるのは、土の存在です。
だから、私たちは、死後、「土に還る」といい方をします。
土は、ただひたすらにすべてのものを受け止め、受け入れてくれています。
じっと、ずっと。
その、土のふるまい、たたずまいを考えると、土用の期間に必要以上に土を触らず、掘り起こさずにいるというのは、自然と合点のいくことかなと思います。
そんな、じっと私たちを受け止め続けてくれている土に、「ありがとう~ありがとう~」って言いながら歩いてる人は、見たことがありません。
土いじりをしない!ではなく、土がなければ、私たちは生きていくことさえできませんから、土用の期間は、土に「ありがとう~」っていうのもいいかなと思います。
踏みしめる足の裏から、時には寝転んで背中全体から、土に落書きをして土と遊んでみたり、土はどうしたら喜ぶかなぁと思いを巡らせてみるのも楽しいかもしれません。
ちょっと、角度の変わった、私からの提案でした。
間日(まび)
とはいったものの、暦は、農業とは切っても切り離せない関係です。
約18日間も土が触れないとなると、種まきや収穫に支障をきたしてしまいます。
そこで、間日という、農作業(土を触る)をしてもいい日が設けられています。
春土用 巳・午・酉の日
夏土用 卯・辰・申の日
秋土用 未・酉・亥の日
冬土用 寅・卯・巳の日
過ごし方
次にやってくる季節の前の約18日間ということは、季節の変わり目ということです。
行きつ戻りつしながら移り変わるのが季節なので、この変わり目には、体調も崩しやすくなります。
体調を崩しやすい時期だから気をつけなきゃ~~~って、考えすぎると本末転倒。
五行の土の感情は、思い煩いです。
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真ん中にあるから、右にも左にも、どこにも寄せられないそんな気持ち。置き場をどこにしたらいいのか分からない、そんな気持ちが思い煩いです。
五臓は、胃が属しています。
人の身体の真ん中にあるのが胃。
思い煩い過ぎると…胃に穴が開きます。(胃潰瘍)
全部、繋がっているのです。
なので、土用だから、あれしなきゃ、これしなきゃはありません。
次の季節の準備に、いつもより体も心も軽くできるのであれば、養生できるのであれば、した方がいいと思います。
でも、あれしなきゃ~これしなきゃ~あれやめなきゃ~となるのは、土用らしくない。
土がすべてを受け止めてくれる!とそこに安心感を持ち、どっしりしてるくらいがいいかもしれませんね。
慌ててる土って、なんか、やじゃん。
食
五行の土は、色は黄色、味は甘味です。
胃・脾臓に優しい食べ物は、黄色い食べ物。
もうすぐかな、とうもろこしやかぼちゃもいいと思います。
また、「土」の中に生える根菜類たっぷりのお味噌汁も栄養もたっぷりとれて、お味噌で菌活もでき、なにより、美味しくて、ほっとする。
黄色くて、自然な甘みで、あったかくて、ほっとするもの。
そんなものを選べたら間違いないかなと思います。
私は、最近、ほしいもが食べたくて、いろんなお店で探し回ってます。
気になってるのは、丸干しのもの。
塩干し芋というやつが、去年の私的ヒットでした!
1年に4回やってくる土用。
春だけでもない、夏だけでもない。
もっというと、土用だけでもない。
暮らしのヒントになれば、嬉しいです。
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