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一日一頁:島薗進編『政治と宗教 統一教会問題と危機に直面する公共空間』岩波新書、2023年。
じっくりと読み終えた。
本書は日本独特な政教関係に注目するだけでなく、世界的視野まで包含しながら、政治と宗教のよりよき関係を模索する恐るべき一冊。
ありていに言おう。政治利用の宗教が政治を換骨奪胎し、その逆も然りである。
総選挙の前に紐解きたい一冊である。
時間がなくても1日1頁でも読まないことには進まない。
政教分離が前提とされる立憲政治体制において、宗教の政治関与、政治の宗教制御がどのようになされているのか、捉え直す必要がある。公共空間が保障する多数性や、そもそもが開かれた場であるという公共空間の本質に対することで、宗教が公的領域から撤退し、私事に関わるものに専念していく方向がある一方で、かつての世俗主義が強かった時代には予想だにできなかった形で、宗教の政治関与が進んできている。ホセ・カサノヴァのいう宗教の「非私事化」であるが(終章参照)、それは必ずしも楽観的に受け止めうるものではない。新たに宗教が公共空間の閉塞や、ひいていは危機をもたらす恐れも生じている。政治による宗教制御、宗教の公共空間への関与のあり方があらためて問われていると言える。
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