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一日一頁:西研『しあわせの哲学』NHK出版、2021年。

中途半端ではなく透徹したニヒリズム(永遠回帰)があってこそ、それはひとに「『喜び』を思い出させる思想」として力強くありえる。

時間がなくても1日1頁でも読まないことには進まない。

 「喜び」を思い出すことができるからこそ、人は再び、「自分の人生を自分でつくっていこう」という前向きの気持ちを取り戻し、次の一歩を踏み出すことができるのだと思うのです。
 人はどんな条件に産み落とされるのかを選ぶことはできません。家族も、性別も、才能も、どれ一つとっても初めから主体的に選べるものはありません。
 そして世の中には、生の条件に恵まれている人も、恵まれていない人もいます。
 また、生きていく過程でさまざまな困難にぶつかり、なかには自分ではどうにもできないこともあるかもしれません。
 しかし自分自身の「生の可能性」を見出すためには、選ぶことができない生の条件を呪うことなく、自分のいま生きている条件のなかで「自分は何ができるのか・自分は何をしたいのか」と問うことが必要です。
 そして、自分はどのようにいて喜びをついりたいていけるか。ニーチェの永遠回帰の思想は、私たちに、次なる問いかけを与えてくれるのです。

西研『しあわせの哲学』NHK出版、2021年、118-119頁。

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氏家 法雄 ujike.norio
氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。