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一日一頁:マイケル・サンデル(鬼澤忍訳)『それをお金で買いますか 市場主義の限界』ハヤカワ文庫、2014年。
先の選挙を見ると動員勝ちという印象が拭えず「市場は必ず腐敗する」と説くサンデルを紐解く。市場原理主義的に数値で全て判断すればするほど良心の残る余地は枯渇してしまう。
時間がなくても1日1頁でも読みないことには進まない。
格差が広がる時代に、あらゆるものを市場化するということは、懐の豊かな人とそうでない人がますますかけ離れた生活を送ることを意味する。われわれは別々の場所で暮らし、働き、買い物をし、遊ぶ。子供たちは別々の学校に通う。それはアメリカ人の生活のスカイボックス化と呼べるしれない。それは民主主義にとってよくないし、満足できる生き方でもない。
民主主義には完璧な平等が必要なわけではないが、市民が共通の生を分かち合うことが必要なのは間違いない。大事なのは、出自や社会的立場の異なる人たちが日常生活を送りながら出会い、ぶつかり合うことだ。なぜなら、それがたがいに折り合いをつけ、差異を受け入れることを学ぶ方法だし、共通善を尊ぶようになる方法だからだ。
つまり、結局のところ市場の問題は、実はほかの人々とともにどう生きることを望むかという問題なのだ。われわれが望むのは、何でも売り物にされる社会だろうか。それとも、市場では評価されずお金では買えない道徳的・市民的善というものがあるのだろうか。
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