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一日一頁:蟹江憲史『SDGs (持続可能な開発目標)』中公新書、2020年。

読み終えた。

「SDGsは大衆のアヘン」という指摘もあり、資本主義にブレーキをかけなければならないこと(斎藤幸平)も熟知している。しかし、目的ではなく手段として活用しなければ前へは進めない。

時間がなくても1日1頁でも読まないことには進まない。

 SDGsの理念である「だれ一人取り残されない」ということを考えると、指標以外の方法で、定性的に計測することの重要性がわかるであろう。「取り残される」人々や「取り残されがちな人々」は、なかなか統計データに表れてこないことが多いからである。さらに公共機関も、どれだけ取り残された人々がいるのかを十分把握していない、あるいは把握していたとしても、あまり表に出したがらない場合が少なくないからである。路上生活社の数や実態、外国人労働者やLGBT、障がい者といった取り残されがちな人々の実態把握はどこまで進んでいるだろうか? 出生記録のない地域における子どもや老人の人口や生活の状況はどこまでわかるのだろうか。
 なかなかデータに表れてこないこうした課題の状況を測っていくことは、「だれ一人取り残されない」ための対策を取るうえでも欠かせない。

蟹江憲史『SDGs (持続可能な開発目標)』中公新書、2020年、25ー26頁。

氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。