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一日一頁:成瀬剛「18歳、19歳の者は大人か?子どもか? 」、東京大学法学部「現代と法」委員会編『いま、法学を知りたい君へ―世界をひろげる13講』有斐閣、2024年。



耳学問が決して悪いとは思わない。しかしながら正規の手続きを経た言説、あるいは一次資料に触れずに、伝聞に依拠して「知ってるつもり」が実際のところ恐ろしい。

フェイクニュースやSNSで「真実を知った」なんて目覚めるよりも、きちんとした情報を摂取する努力が今求められている。

少年法の改正についても然り。

大人になるってその日からなるわけないよな。

 民法は、成年者(大人)と未成年者(子ども)の二分法で制度を構築しているが、少年法は、そのような単純な線引きをしなかった。
 この点は、どのように評価すべきだろうか。
そもそも、人間が段階的に成長していく存在であることに鑑みると、民法のように特定の一時点(18歳)を基準として、子どもから大人になると考え、両者の法的取扱いを大きく変更する法制度が果たして合理的なのか、疑問も生じる。
 このような観点から見ると、令和3年の少年法改正は、17歳以下の者、18歳・19歳の者、20歳以上の者という3つの区分を設けて、特定の一時点で法的取扱いを大きく変更するのではなく、人間の成長の実態に合わせて、徐々に法的取扱いを変えていく段階的な製度を採用したと現えることができ、その合理性を認める余地もあろう。

成瀬剛「18歳、19歳の者は大人か?子どもか? 」、東京大学法学部「現代と法」委員会編『いま、法学を知りたい君へ―世界をひろげる13講』有斐閣、2024年、71-72頁。


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氏家 法雄 ujike.norio
氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。