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一日一頁:島薗進「統一教会による被害とそれを産んだ要因」、島薗進編『政治と宗教 統一教会問題と危機に直面する公共空間』岩波新書、2023年。

読み始めた。

民主主義の閉塞や政治の劣化、あるいは『力の政治』の台頭と宗教的政治勢力との関係について問うている」(あとがき)本書は、時事的話題を扱いながらも、公共空間と民主主義の問題を問うている。

時間がなくても1日1頁でも読まないことには進まない。

 統一教会の攻撃性、暴力性はなぜこのように持続しえたのだろうか。教団として殺人を犯すに至っていないというきわめて大きな違いに加えて(オウム真理教と対比した場合……引用者註)、どのような要因が考えられるだろうか。一つの要因として考えられるのは、統一教会が政治的な庇護を得たということである。
 統一教会は日本における布教活動の初期である一九六〇年代前半から、自民党の大物政治家や財力豊かな保守的な著名人、さらには学界・教育界の有力者らと親しい関係を結んでいる。早くも、外部社会との葛藤が露わになり始める一九六八年には国際勝共連合を設立し、これによって韓国の軍事独裁政権の長であった朴正煕大統領の支持を固め、日本の右派や自民党の右派とも手を結んだ。一九七四年には世界平和教授アカデミーを組織し、大学教授などの支持を得ることにも力を入れた。
 政治的な保護が有利に働いたと思われるのは、報道による批判と警察による捜査を免れることに関係があるのではないかという問題に関わる。これは実証は必ずしも容易ではないが、状況証拠はかなりある。

島薗進「統一教会による被害とそれを産んだ要因」、島薗進編『政治と宗教 統一教会問題と危機に直面する公共空間』岩波新書、2023年、36‐37頁。

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氏家 法雄 ujike.norio
氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。