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一日一頁:斎藤環『イルカと否定神学』医学書院、2024年。
――なぜ対話するだけで、これほどの変化が生ずるのだろう。
――なぜこんな「ふつうのこと」で、回復が起きてしまうのだろう。
斎藤環ファンかつ否定神学と聞けば、ひもとくほかあるまい。
人間は、いちばん言いたいことは言わない。あるいは、言えない。
これが、おそらくもっとも簡単な「否定神学」の説明です。「星の王子さま」風に「肝心なことは、目に見えない」とか、あるいは「書かれなかったことに、真実がある」などといってもいい。それがつねに正しいとは言わないまでも、そのような形でしか語れない真実というものがある。人間の心はそういう構造を持っている。
こうした構造を、このうえなく、ときには過剰なまでに、精密に解き明かそうとしたのが、「精神分析」という営みでした。とりわけフロイトからラカンに至る系譜は、徹底してこの方向性を極めた理論といってもいいでしょう。
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