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プッシャー現象を評価するSCP:リハビリ現場での実践ガイド
みなさんこんにちは!
リハビリナレッジです。
今回のテーマは【プッシャー現象を評価するSCP:リハビリ現場での実践ガイド】について話をさせていただきます。
プッシャー現象は、脳卒中後の患者に見られる特徴的な症候の一つであり、リハビリにおいて大きな課題となることが少なくありません。この症候を的確に評価し、適切な介入を行うためには、SCP(Scale for Contraversive Pushing)が個人的にはわかりやすく、臨床で使用頻度が多い評価バッテリーになります。
プッシャー症候群とは?
プッシャー症候群は、脳卒中の約10%に見られるとされる症候で、患者が体を患側へ押し付けるような姿勢を取るのが特徴です。この症状は、特に後外側視床や内包後脚の損傷によって引き起こされることが多いです。患者は、身体の傾きを「正しい姿勢」と誤認しており、バランスを中立に戻そうとすると不快感や不安を覚えます。
このため、プッシャー症候群がある患者は、以下のような困難を経験します。
自立した座位や立位の保持が難しい
バランス訓練中の転倒リスクが高い
歩行訓練の進行が遅れる
これらの問題を解決するためには、症状を定量的に評価し、改善の進捗を追跡することが重要です。
SCPとは?
SCPは、Contraversive Pushing(反対方向への押し込み)を評価するためのスケールで、プッシャー症候群の重症度を定量的に測定するために開発されました。SCPでは、以下の3つの主要な側面について評価を行います。
姿勢(静的保持の対称性)
患者の座位および立位での体幹の傾斜を観察します。病側への傾斜が顕著な場合、スコアが高くなります。
伸展と外転(上下肢による押し返し)
患者が自発的に重心を正中に戻そうとする際の困難さを評価します。リハビリ介入に対する適応性を評価するための重要な指標です。
修正への抵抗(他動的姿勢修正への抵抗)
患者が、手や足を使って病側へ体を押し付ける動作の有無とその強さを評価します。
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SCPの評価手順
座位での評価
患者を座位にした状態で、自然な姿勢を観察します。重心が病側に著しく偏っている場合、姿勢の非対称性をスコアリングします。次に、座位から立位へ移行する際の手や足の押し込み動作を評価します。
立位での評価
立位では、患者がどの程度のバランスを保てるかを観察します。また、外的なサポートなしに正中に重心を戻すことができるかを確認します。
評価環境の調整
評価を正確に行うためには、患者が不安を感じない環境設定が重要です。例えば、鏡を使用して視覚的なフィードバックを提供することで、患者の反応を引き出すことができます。
リハビリ計画におけるSCPの活用
SCPを活用することで、以下のようなメリットがあります。
症状の可視化とモニタリング
SCPのスコアを通じて、患者のプッシャー症候群の重症度を定量的に把握できます。これにより、介入の進捗を追跡し、改善が見られるかどうかを客観的に評価できます。
段階的なアプローチの計画
患者のSCPスコアに応じて、リハビリ介入の内容を調整できます。例えば、軽度の患者には重心バランス訓練を、重度の患者には鏡を用いたフィードバック訓練を重点的に実施します。
最後に
プッシャー症候群の評価と管理は、脳卒中後のリハビリにおいて重要な役割を果たします。SCPを活用することで、症状を客観的に評価し、適切なリハビリ介入を行うことが可能です。リハビリ職の皆さんには、SCPを積極的に活用し、患者の機能回復を最大限にサポートしていただきたいと思います。
参考文献
Karnath HO, et al. Understanding Contraversive Pushing in Stroke Patients.
Davies PM, Steps to Follow: A Guide to the Treatment of Adult Hemiplegia.
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