脳血管障害と排尿障害について
皆様こんにちは。和歌山で作業療法士をしています。
宇治です。よろしくお願いします。
最近特に臨床で難しいと感じたのが、排尿についてです。
脳血管障害を呈し、合併症で高次脳機能障害や片麻痺が障害されますが、中には排尿障害も起きる方がいます。
今回は、脳血管障害における排尿障害について、経験された方や困っている方がいると思われますので、何か力になれればと思います。
はじめに
尿失禁の有無は、脳血管障害患者のADLや生命予後に関与する因子であると報告されています。
人にもよりますが、下部尿路の障害や身体機能の障害により、その望みが実現できず、おむつや尿道カテーテル管理となっていることが多いという報告されています。
私の経験では、上記のようなオムツや尿道カテーテル管理がされてる方が多くいた印象があります。
ここでまずは尿について少し話をさせていただきます。
尿は、身体を循環している血液から生成され、血液は体内をめぐる中で老廃物が含まれます。腎臓で血液からこの老廃物を取り除き尿が生成されます。腎臓には、心臓から排出される血液の約1/5~1/4が流れ、腎臓に流入した血液はボウマン嚢の糸球体でろ過され、原尿が作成されます。この原尿は成人では約160Lもの量になります。原尿には水・ブドウ糖・アミノ酸・電解質など身体に必要な成分が含まれます。そのため、近位尿細管→ヘンレループ→遠位尿細管へと移動するなかで、水・ブドウ糖・カリウム・塩素など、約99%再吸収されます。また同時にアンモニア・クレアチニンなどが尿のなかに分泌され、最終的に尿として排出されます。
一日の尿量が100mL以下になる状態を「無尿」、400mLを下回る状態を「乏尿」、2500~3000mLを超える状態を「多尿」と呼びます。
脳卒中に関連する下部尿路障害
脳血管障害は、中枢神経系の障害により尿閉や頻尿などの下部症状保有率が高く、尿閉が21~47%に発生するといわれています。
また、回復期以降の脳卒中患者は排尿筋活動により頻尿や尿意切迫監が発生しやすく、尿失禁を37~79%が有していると報告されています。
これらから、脳卒中後の下部尿路症状確率は大きく差はありますが、高い可能性があると思われます。
さらに、脳卒中による片麻痺などの運動麻痺、意識障害や高次脳機能障害などから排尿障害が障害される可能性も高いと考えます。
急性期
先行研究では、脳卒中患者が尿閉状態から自排尿獲得に至るまでの平均24日、自排尿獲得から退院までの平均69日を要したという報告があります。
下部尿路障害による症状の管理や日常生活の改善によって再度自立して排尿できるようになるためには、急性期病院の在院日数だけの支援では不十分です。
しかし、なるべく排尿を促すためにも、早期からアプローチを行うことが重要であると思われます。
終わりに
尿意の有無は、リハビリテーション上の予後とも関係する重要な問題です。
尿意がない場合や頻尿の方も同様に、身体機能の向上は重要であると思われます。トイレにいくまでに、ベッドから起きる、移動する、便座に座る、後始末をするなど動作ができるできない差も重要であると思われますので、早期から排尿を促すことが重要だと思います。