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【UW映画感想】#7『OLD JOY』【タケウチユウイ】

監督 ケリー・ライカート

2006年製作のインディペンデント系の映画。
主人公マークと旧友カートが久しぶりに再会。二人は愛犬のルーシーと共にカートの”特別な場所”へキャンプ旅に出るという物語。

ただ行って帰ってくるだけであまり展開もなく、感情の揺れも微細すぎてあまり観客を寄せ付けない映画ではある。

ただキャンプっていうのは往々にして、そうだよなぁと思う。

僕自身しょっちゅうキャンプに行くのだけど、”何が楽しいの?”、”何をして過ごすの?”といった質問を受けることが少なくない。
よく行く人ならわかると思うけど、
キャンプって人に張り切って話せるほど特別なことはない気がしている。
僕が行くキャンプは、別にINTO THE WILDのような大自然が待ち受けているわけでもないし、お洒落なサイトを作っていつもより手の込んだ料理を作るわけでもない。
だからこの質問は僕にとって、一番好きな映画を聞かれる次くらいに難しい質問だった。好きなものの良さを伝えられないもどかしさに毎度苦しむ。
そんな僕のためにケリー・ライカートが残してくれたのがこの映画。

ガソリンスタンドでお揃いのクージーを買ったり、道に迷って地図を眺めたり、朝食を取りにダイナーに寄ったり。車窓からは犬が顔を出して、景色はポートランドの街並みから緑あふれる山中に変わり、サンルーフからは気持ちのいい陽が差し込む。夜は焚き火を囲んで、ビールを飲みながら打ち明け話をする。
作中ではどれも特別楽しい描写はされていないのだけど、そういうミニマルの結集こそがキャンプの醍醐味であって、"OLD JOY"なのだと思う。(主題とはズレているかもしれないけれど。)
キャンプ旅っていうのは一つのロードムービーで、劇的なドラマは無いけれど思い返すと瑞々しいシーンの連続である。

あと、Yo La Tengo最高。
彼らの音楽がなかったら成立してないくらいに最高。
ライブ行きたかったなー。
カート役のウィル・オールダムが出した新譜もこの秋冬に必聴。

この映画が好きな人とはいい旅が出来そうな気がする。


余談ですが、
ルーシーが本当に可愛い。
監督が飼っている犬で、他の作品にも出演してるんだけど、いつもお利口。
この映画でもリードせずに山行していて、ちゃんと後ろをついてくる。
うちの犬の名前はこのルーシーからあやかっているのだけれど、絶対にリードは離せない。必ずいなくなる。
久しぶりにこの映画を家で見ていた時は、犬も隣でルーシーを羨ましそうに見つめていました。

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