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【ご恵贈御礼】モンゴル勢おそるべし、だが『詳しくわかるモンゴル語文法[新版]』は買いの一択だょ

普段からなにかとお世話になっているモンゴル諸語のエキスパート、山越康裕先生から『詳しくわかるモンゴル語文法〈新版〉』(白水社、ISBN: 978-4560089422)をご恵贈賜りました。

アマゾンではまだ書影が出ていないようですが、ご本人のツイートによると出版元の白水社ではもう書影も出ていますね。

旧版の草原の写真をつかった表紙も個人的に好きでしたが、これはこれでまたリニューアルされていて、よきではないでしょうか。

さて、注目ポイントはもちろん中身です。モンゴル語の文法項目が全体的に、しかしかなり細部にも注意を払って記述されていると見受けました。このあたり、記述言語学をフィールドとする著者氏の面目躍如でしょう。

それに加えて、各章の間にあるコラムも何点か加筆されていますね。旧版と見比べてみますと、まず「まえがき」が一新されていることに気づきますし、著者ご本人からも教えていただいたのですが新版のp100で新たに追加されているコラム「語彙の借用から見えるモノの流通」では、テュルク諸語との接触についても言及しておられます。

それに旧版・新版ともになのですが、巻末の「モンゴル語の方言」は、テュルク諸語に興味のある身としてはいろいろな意味で刺激されること請け合いでしょう。全体として、著者氏のモンゴル系諸言語に対する並々ならぬ情熱が伺える一冊というべきかと。

実は旧版から同書には注目していて、今夏使用予定のアゼルバイジャン語の教科書を作成する際には同氏の旧版をずいぶん参考にしたものでした。いや、結果的に出来上がる予定のものは質・量ともに同書にははるかに及ばないとは思うのですが、おそらく見る人が見れば「ああなるほど、この辺影響を受けてるな」というあたりはすぐばれそうだとは思っています。

良質の文法書は、その言語系統に特に関心がない人にも訴えてくるものがあるのかな、と思うなどします。自分もそういうものが書けるようにならないといけないよね…と、改めて思う次第です。

まあともかくとしまして。
さて山越先生といえば、今夏の言語研修は私たちアゼルバイジャン語と同じく開催される、ブリヤート語の講師も務められるご予定ですね。

そんなわけで、この度はいわば「裏番組」の先生からご献本賜ったという次第です。重ねて御礼申し上げつつ、どちらも盛り上がるとよいですね。テュルク、モンゴルという、アルタイック(Altaic)な夏になるとよい…!


そういえば4年ほど前になりますか、私がまだアンカラにいたころのことですが、東京外大で年の瀬にテュルク諸語とモンゴル諸語の研究会が奇しくも同じ日に開催されました(私はアンカラから呼んでいただいて、数日東京に出張というかたちでまた研究会が終わった後にアンカラに戻りました)。

研究会終了後、どちらの会の参加者も飛行機についてる部品の名前が店名になっている、外大近くの某有名居酒屋で打ち上げとなったことがありました。

そのとき、打ち上げに参加していたモンゴル諸語関係者の数の多さにびっくりした記憶があります(あとぜんぜん関係ないですが、その席で変な酔い方をして、テュルク諸語勢のビッグネームたるH徹先生に妙な絡み方をしてしまうという粗相をやらかすという、黒い記憶も蘇ってきました。つらい)。

テュルク諸語界隈もそれなりに盛り上がっていると思っていたのですが、モンゴル勢もそれ以上に多いのだなと。

モンゴル勢おそるべし、です。そんなわけですから、テュルク勢も負けてはいられませんね。しらんけど。がんばっていればそのうちモンゴル勢に勝てる日がくる可能性も…あ…ある…あるt

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