嗚呼トゥルキア、おまいのおかげで数か月は家にこもれる
昨日の記事、結果として少し重たい内容になってしまいましたか…ということでしばらく「心構え」がテーマの文章は控えておくのがいいかもしれないなと思いました。どうもその手の文章は、雰囲気が重たくなっていけませんわな。
先日から言及している、Johansonの"Turkic" (Cambridge Univerity Press, 2021). 控えめに言って最高です。私はしばらく、この本を読んで過ごします。探さないでください。
いやあ、なんというんですか。思い込みというか、出費したことでバイアスは多少かかっていると思うのですが、20000円近く投資した甲斐がありました。超面白い。みなさんもぜひ手に取るとよいです。マジで。
私は今、Chapter 4あたりを読んでいたところです。チャプターのタイトルは"Turkia, the Turkic World". テュルク諸語が使用されている地域全体を"Turkia"(テュルキア)という用語で言い表しています。初めて見たな、Turkiaという語は。Johansonの造語なのか、はたまた昔から使われている語なのか。
このチャプターは、テュルク諸語にどういったものがあるかを具体的に言語名を挙げながら地域別に概説していくという内容で、言語学を専門としていなくてもテュルク諸語に興味のある方はぜひ目を通しておくとよいように思います。
世界には英語以外にも様々な言語があって、それらに興味をもつ意義があるのだよということを「にぎやかな外国語(の世界)」と名付けて表現したのは黒田龍之助さんでしたっけ。もっと限定された世界、すなわちテュルク諸語の世界だけでもこれだけのにぎやかさがあるのかという気分にさせてくれます。
ここ自分のnoteでも、いろいろなテュルク系言語の名称を紹介したと思います。ノガイ語、カラチャイ・バルカル語、カライム語とか。
これに各言語の諸方言…といっても、言語と方言の境界線は政治的な話が常に関与するので難しいのですが…を考慮すると、にぎやかどころではない、ボリュームでかすぎだよね?とすら思えてきそうな。
とりあえず、こういう世界が覗けているのだなと思うだけで、トルコ語というチョイスをした高校当時の自分、ナイスと思います。なんせ、Johanson自身も本のイントロの部分で以下のように書いているのですから。
"An obvious message is that Turkic linguistics is a fascinating field of research, an ideal laboratory for studying synchronic and diachronic precesses for comparative, typological, and contact-linguistic work."
(Johanson 2021: 5)
通時的に、あるいは共時的に。また個別対照的に、類型論的に、言語接触論的に。どんな側面の研究をするにしても、テュルク諸語研究というのは魅力的な分野なんだという趣旨ですよね。
このうちの一端でもなんとか、という気分にもなりつつ、研究がんばろうとも思いながら、半分趣味、半分仕事の心がまえで読み進めていこうかなと思います。
最初から熟読するというよりは、興味のある所からどんどん読んでいくという手順のほうがよさそうな一冊です。しばらく…そうさな、2,3か月は家にこもれますね。間違いない。
引用文献
Johanson, Lars (2021) Turkic. Cambridge: Cambridge University Press.
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