12年ぶりの再会
きっともう会うことはないと思っていた。
多い時は週に4回も会っていて、目的は達成したのだから。
私は十分に満足したのだから。
それなのに、やっぱり10年も経つと少しづつ元に戻っているのを感じていた。
今ならまだ間に合うと思ったから、会いに行ってみた。
12年ぶりの「ジム」はすごかった。
広い。
多くのマシン。
案内、ガイドをしてくれるお姉さんは親切丁寧。
筋トレ体験をしてくれた男性トレーナーはイケメン。
平日の午後は人が少なく、この程度なら思う存分マシンを使うこともできる。
1人ロッカールームには、シャワーもあるし、セルフエステもできる。
今流行りの無人24時間ジムではないけど、私にはこちらの方がいい。
わずか30分の筋トレですでに筋肉痛だし、気のせいかウエストがシュッとした
気がしている。
受付に行くと、受付の女性は電話中だった。
私が来たことはわかっていても、電話の相手にはかなり丁寧に話をし、説明をし、質問に答えている。私は、仕方なく椅子に座って待つ。
やがて、トレーナーの男性が出てきた。
20代後半くらいか。パーマーをかけた髪がよく似合う、二重瞼がくっきりで、マスクをしているがイケメンだ。
大学で教えていた頃は、若い男の子を間近でみていたが、最近は
それもないので、少し驚く。
電話中の受付女性の代わりに、私への対応をしてくれた。
これで話し方がバカっぽかったら、バカにできるけど、体験レッスン代の領収書をください、と言っても、しっかり丁寧に、そして説明もきちんとしてくれる。
うーん、バカっぽくもない、性格の良さそうなイケメン。
どうか体験トレーナーがこの人でありませんように、と願う。
電話が終わった女性に連れられ、マシン、ロッカーの案内を受ける。
この人もとても丁寧に明るく説明してくれる。
持ってきたウエアに着替えて体験レッスンの時間がやってきた。
期待に外れ、先ほどのイケメントレーナーがやってくる。
「今日は、どんなことを体験したいですか」
少し太ってきたから痩せたいとは言えない女心。
「筋トレとか」
「どの部分の筋トレがいいですか」
「腕とか、足とか、自分じゃなかなかできないので」
「わかりました。じゃあ、まずはお腹からやりましょう」
希望は言ってないのに、なぜかわかっているのが怖い。
今日はぴちぴちのTシャツではなく、ゆるっとしたTシャツを着ているのに、プロはめざといのか。
説明して、やってみせてくれ、私がやる。
これを繰り返していくのだが、案外スパルタで、お試しだけかと思ったら、「あともう1セット半やりましょう」と言う。
褒めるのと、励ましと合わせ技で教えてくれる。さすが慣れている。
元来の負けず嫌いなので、「できますか」と言われたら「やってみます」とつい、答えている自分がいる。
一つ一つこなしていき、体験は終わった。
すでに筋肉痛。お兄さんは最後まで優しく、でもトレーナーと言う姿勢を崩さずに教えてくれた。
ジムエリアにいる女性会員は、彼が通ると必ず挨拶をする。
絶対このお兄さんに惹かれて入会したでしょ、と言いたくなった。
私は、家も近いし、広くて、マシンが多くて、シャワーがあって、聞いたらちゃんと教えてくれる人がいるっていうジムがいいと思ってたのよ。
それに合ってるから行こうかな、と今8割くらいは思っているけど、まだ決めてはいない。
決して、お兄さんが理由じゃないわよ。
決して。
この物語はフィクションです。笑
とここまで午前中に下書きをしていたのだが、さらに「ピラテイス」の体験会にも参加してきたので、明日はその際の気づきを書きます。(予告)