道徳科における表現力を育てる NO3
本シリーズでは、道徳科の授業ではあまり重要視されていない表現活動について述べていきます。前号の「発言はできるだけ短く」では、友達の理解を確認しながら自分の考えを伝えるポイントついて述べました。
本号では第3弾「探索的な言葉を育てる」についてです。
*前回号と合わせてお読み頂けると幸いです↓
1 辿々しい子どもの言葉
道徳科の授業で教師が発問した際、「あっ、わかった」と勢いよく挙手した子どもを指名して発表させると、
「私は、〜だと思います。だって・・・なんて言ったらいいんだろう・・」と言葉に詰まることがあります。
そういう子どもに限らず、道徳科の授業での子どもの発表するときの言葉は辿々しく、途中で言い換えたり、行き詰まったりするなど未完成のことが多いことがよくあります。
そして・・・
教師は、「あっ、この子はまだわかっていなかったんだ」と判断し、「じゃ、考えを整理してからまた話してね」と考えを断ち切ってしまいます。
実は、教師のこの行為は「思いやり」のように見えて、子どもの「深い学びを奪っている」行為でもあります。
2 探索的な言葉
なぜなら、子どもの辿々しく未完成の言葉こそ大事だからです。
探索的な言葉について詳しく知りたい方は↓をご覧ください。
https://note.com/uechigo/n/n1f439ba92e85
つまり、「探索的な言葉」を大事にしない教師は、新たな考え(深い学び)に接近している段階で、「もういいよ」と思考を断ち切ってしまっているとも言えるでしょう。
だからこそ、完成されている言葉よりも、未完成で辿々しい探索的な言葉をどのように授業で取り扱うかは重要であるといえます。
しかし・・・
辿々しく、切れ切れな言葉を聞き続けることは、授業の展開上の様々な問題(時間・集中力・理解など)が生じてきます。
では、どうしたらいいのでしょうか。
3 探索的な言葉を生かすポイント3選
探索的な言葉を大切にしながらも、授業展開をスムーズにするためのポイントを3つご紹介いたします。
⑴ ペアトークで何度も表出させる
探索的な言葉は、段々と完成された「最終稿の言葉」に変わっていきます。そのためには、何度も言葉を表出させなければいけません。そのため、全体の前にペアトークで探索的な言葉を何度も表出させることです。
⑵ 巻き戻し
いざ全員の前で発表となっても、探索的な言葉は出てきます。その際、ずっと待つのではなく、教師が「Aさんが言ったことを、巻き戻すよ」「Aさんは、最初〜と言いました。次に〜と考えて〜」とAさんの考えを巻き戻しながら整理してあげます。そうすると、Aさんは自分の考えを客観的に見ることができ、思考が整理されていくのです。
⑶ 言葉だけに頼らない
探索的な言葉は未完成であり、発表者自身も頭の中で整理されていない状態です。つまり、頭の中で浮かんできては消え、消えては浮かんでくるという状態です。
そこで、かきながら説明させることをオススメします。
なぜなら、かき残すことで発表者自身もどこまで話したかを整理することができます。また、聞き手にも理解を促すことにつながるからです。
主体的・対話的で深い学びへ実現させる学級は、実は探索的な言葉を大事にする学級だと言われています。
辿々しく未完成の言葉を切り捨てるのではなく、その言葉を紡ぎ合っていく学級を創っていきたいものです。
*私のnoteでは、2週間に一度、「道徳科の授業づくり」について書いております。興味のある方はフォローして頂けると幸いです。
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