鈍感うどん

20歳。面白いことは書けないです

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最近の記事

読書感想文 世の中を変えるトリガーとはなんなのか

この先「ステラ・ステップ」(作、林星悟さん)のネタバレを含みます。 この本を購入した最大の理由は帯についていた入間人間先生という文字だった。電波女と青春男や安達としまむらを愛読していた私にとっては見過ごせない一文だった。 なのでろくに背表紙のあらすじすら読まずに勢いで手に入れたので表紙の可愛い女の子のイメージとはかけ離れたSFのような作品で驚いた。 隕石が落ち一度ゼロになった世界で新たな国が誕生した世界で国同士の争いに使われたのは少女達アイドルだったという話だ。  さら

    • 叱られたいということ。

      ああ、ついにやってしまった。 コンビニの駐輪場でキャスター3mmソフトを握った右手をコートのポケットに入れて深呼吸をする。 冷たくて乾燥した空気が頬を切るように痛い。19の冬のことだった。 見返してやりたい気持ちもあったんだ。頭の悪いうちの大学の友人の大人や国の言う通り酒もタバコもせずに真っ当に生きてきた俺の評価は「ダサい」だった。 あとほんの数ヶ月の待てすら出来ない奴らにそんなことを言われるのは不服だった。 アルコールやニコチンの入った気持ちよさそうな顔をするあいつらを見て

      • 読書感想文 青春小説は憧れか自傷か

        以下の文章には汐見夏衛先生著の「臆病な僕らは今日も震えながら」本編の内容を含みます。閲覧にはご注意ください。 こういった青春×命といったテーマの物語は現役の青春時代は憧れを拗らせすぎていて真っ直ぐに受け止めることが出来なかったけれど、青春から離れて見るとノンフィクションとして楽しめるようになっていた。 主人公の名前はきららと言う。姉のさくらとは違い少し現代風な、悪くいうとキラキラネームのようなもので名前負けを感じている。幼くして母親を亡くしていて家庭に居場所がなく感じ弱気

        • いつか憧れの。

          いつかを夢見た18年間。 誠実な人間に憧れる続けた18年間。憧れただけだった18年間。 今になって昼寝をして一日を無駄にしてしまったことに大して後悔しても遅い。今になって眠剤を飲むのが遅くなったことを後悔しても遅い。 こういった日々の怠慢の連続に苦しめられる人生は一体いつまで続くのだろうか。物心着いた頃には自分はだらしがない人間だと自覚していたような気がする。 昔は好きでやっていたベッドメイキングや朝食のパンに綺麗にバターを塗ってみたりアニメの世界に入ったかのように突然バ

          雨でも一人の子

           みんなで一致団結して最高の体育祭にしよう。    黒板の上に大きく張り出された二週間後に行われる体育祭のスローガン。  文字の横にはクラスメイト全員の手形が押されていてクラスの中で絵がうまいと有名なあの子が書いたジャージに鉢巻を付けた男女のイラストが添えられていた。    朝七時半。  学校の最終登校時間は八時半。部活動の朝練なんかで早く来ている生徒はちらほら見受けられるものの、校舎内は冷たい空気が広がっていた。  一番乗りで教室に乗り込む。  窓際の前から三番目。自分の席

          雨でも一人の子

          月夜とひとり

           自分の好きな人はとても遠くに感じられる。  ある日の夜何となく気が向いて外へ出歩いていた。東京の郊外の生ぬるい空気と治安が妙に気持ち悪くて、夜中に異様な光を放っているコンビニで買った炭酸飲料で痛みと一緒に流し込まなくてはやっていられない。  彼のことを考えながら歩いているのに地面に落ちているのはゴミばかりで嫌になり空を見上げる。分厚い雲がある訳じゃないのに月がかろうじて見える程度でもちろん星なんて一つも見つけることが出来なかった。  それでも上を眺めて弱々しい夜景に目をやる

          月夜とひとり