パリの老舗香水メゾン『キャロン』でパフパフ
1904年創業の『キャロン(CARON)』。調香師エルネスト・ダルトロフが手がけた、パリの老舗香水メゾンです。
以前は「フレンチマダムの香り」、つまりちょっとクラシックな(シャネル5番のような)位置づけだったのですが、2021年には今の時代に合わせた大胆なリニューアルを敢行しました。
香水ボトルも当然、新しくなりました。
わたしはどちらのボトルも好きです。むしろ新しい方が丸みがあってキャロンらしいと思います。
けれど、ひとつだけ。
とても残念なことが……。
大幅なリニューアルに伴い、パリ・サントノーレにあったアイコン的ブティックが、2021年に閉店してしまったのです。
あそこで鼻息荒く駆け回っていた時代が懐かしい。あまりにも素敵なお店だったので、記録としてここで残したいと思います。
サントノーレのブティックには、「フォンテーヌ」と呼ばれる香水のディスペンサーがありました。
バカラ製の、量り売り専用のフォンテーヌです。
シャンゼリゼ地区には本店があるのですが(こちらは今も健在)、サントノーレ店とはまた違った雰囲気です。華美な装飾はせず、シンプルな感じ。
ただ、サントノーレ店でなによりも好きだったのは、メイクルームがあったことでしょうか。メイクルームにあるグッズとインテリアがまた最高で、好きな人には胸の奥にまで刺さると思います。
もうひとつ「キャロンといえば」のアイテムに、「パフ」があります。
水鳥の羽毛を使った、ふわふわのパフ。
(動物愛護でこれも今は終わってしまったのかも)
サントノーレ店にはこれらのパフがずらりと並んでいました。
わたしがキャロンを知ったきっかけは、今の主人(仏人)と結婚する際に、義母からコンパクト・パウダーをいただいたことでした。
そのパウダーは、香り付きでした。しかもほんのりではなく、がっつり。
アイリスみたいなクラシックな香りに、「どこのブランド?」と訊いたところ返ってきたのが、「キャロン」という答えだったのです。
キャロンはパリのデパート・プランタンにも入っているけれど、今はなきサントノーレ店では、随分と夢を見させてもらいました。
もうないけれど、パリの大好きな香水店のひとつ。
香水もノージェンダーが主流になった現代、こういう振り切ったメゾンが逆に輝いて見えるのは気のせいでしょうか……。
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