うちりらた@香り好き

香水が好きすぎて、住まいをフランスに移したエッセイスト。

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    レジェンド香水から新作香水まで、フレグランスのレビュー・感想・特徴をまとめています!

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改めまして、香り好きの自己紹介を

はじめに みなさま、こんにちは。 香り好きなライター&エッセイスト、うちりらたです。 note.では、香水や匂いについてのエッセイ・コラム・レビューをコンスタントに発信させていただいています。 香りに魅せられてウン十年。 好きすぎて、住まいをフランスに移したほどです。 現在はフランスの香りを感じながら、思うままに文章をしたためています。 そんなわたくしの好きな香りは、バニラやお香がミックスされた「オリエンタルノート」。 香水メゾンですと、「バイレード」や「セルジュ・ル

    • パリには気温差の香りがあった

      先週のパリは、奇妙だった。気温1℃の日があれば、17℃の日もある。冬が一歩踏み込んできたかと思えば、突然秋の残り香が舞い戻ってくる。その気まぐれな空気に、みなが「bizarre(変)」と言った。 1℃の日はだから、空気が冷たく、肌に触れるとまるで刃物のようだった。吐く息は白く、まるで何か目に見えないものを自分の中から追い出しているような気分になる。 行き交う人々の姿が、いつもより大きい。みな着こんでいるのだ。こうも寒くては、マフラーとニット帽だって欠かせない。 その凍て

      • フランス女性の心を掴んだ香りは?2024年最新ランキングTOP5

        もうすぐ12月。パリではクリスマスのイルミネーションが美しく輝くようになりました。 この時期はまた、クリスマスギフトとして「香水」がもっとも売れる季節でもあります。 さて、昨日フランス版「ELLE online」を見ていたところ、「2024年でもっとも人気のある女性用フレグランス」という記事が掲載されていました。 とても興味深いランキングでしたので、ここでシェアさせていただきますね。 ※Idéalo.fr、2024年10月調査。 1、ロリータ・レンピカ「モン・プルミエ・パ

        • あまい蜜には毒がある、という香水「ロリータレンピカ」

          わたしの好きな香水に、「ロリータレンピカ」があります。 このフレグランスは、おとぎ話の「白雪姫」を彷彿とさせる、甘くてファンタジックな香り。フランス発の香水です。 森に迷い込んだ白雪姫と、彼女に嫉妬する美しき王妃が、もし敵対せずに手を取りあったなら。 ……おそらく最強なんじゃないでしょうか。 甘いけど妖しい。安心と刺激を“行きつ戻りつ”する香り。優しいだけの香りじゃ、もう物足りない。 ロリータレンピカは、そんな香りなんです。 ロリータレンピカの香り立ちロリータレンピカのト

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          10本

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          記憶のなかの「夕暮れ」とリンクする香り。メゾン マルジェラ「オン ア デート(On a Date)」

          メゾン マルジェラに、秋にぴったりな香りがありました。 秋の夕暮れ、南仏プロヴァンスでのワイン・デートをイメージした「オン ア デート(On a Date)」です。 こちらは「センチメンタルな夕暮れ」というより、思わず「ありがとう」と呟いてしまいそうな、愛おしくて懐かしい香りです。 「これまで経験したことのない風景を、懐かしく思う」 一言でいうなら、こうでしょう。 「オン ア デート(On a Date)」の香り立ちトップノートはとてもみずみずしく、まるで旬のブドウを口

          記憶のなかの「夕暮れ」とリンクする香り。メゾン マルジェラ「オン ア デート(On a Date)」

          ダウンで有名なモンクレールの香水が素敵な香りだった

          ダウンで有名な高級ブランド、モンクレールに新しい香水が登場していました。 アルプスの木々にインスパイアされたコレクションで、わたしが手に取ったのは「オート モンターニュ(Haut Montagne」という香りです。 結論から言うと、これほどダウンをラグジュアリーに押し上げてくれる香りもないんじゃないかな、って感じでした。 トップノートはバニラ風味で優しいんですが、ミドル〜ラストにかけてのウッディが猛々しい。 これをダウンの中で、体温で温めたら最高にセクシーな香りとなるで

          ダウンで有名なモンクレールの香水が素敵な香りだった

          この香水、飲めるんじゃないか

          先日、また素敵な香りを発見しました。 ジョー・マローンの「ジンジャー ビスキュイ(GINGER BISCUIT)」です。 ジンジャークッキーの香りですね。 この香り、なんなら紅茶に一滴二滴垂らしてもいいくらい。 むしろ飲めるんじゃないか? という感じでした。(飲まないですけれども) さて「ジンジャー ビスキュイ(GINGER BISCUIT)」、チープさがまったくありません。 上等なジンジャーと、シナモンと、ナツメグあたりのスパイスを高島屋あたりで買って、クリスマス前に家

          この香水、飲めるんじゃないか

          秋の香り、ブドウ収穫祭

          あれは10月のことだったと思う。 わたしはパリ・モンマルトルの、ブドウ収穫祭にいた。 そこで香ったのは、「落ち葉」の匂いだった。 ワインではなく、水分を含んだ「落ち葉」の匂い。 余韻をたっぷりと残すその香りに、どうしようもない秋を感じた。 モンマルトルのブドウ収穫祭は歴史が古い。始まったのは、1934年からだという。つまり、今年で90年だ。 芸術とボヘミアンの混在する街でありながら、農業の伝統も尊重し続けているモンマルトル。 そんな街の、そしてパリで唯一のブドウ収穫

          秋の香り、ブドウ収穫祭

          恋愛バニラ香水 わたしの“一軍”香水、精鋭たち③

          わたしは、とことんやさしい「バニラ」の香りを持っています。 これ、ただのバニラ香水ではありません。バニラの世界的な産地、インド洋に浮かぶ「レユニオン島」で購入したオードトワレなのです。 フランスの海外県である、レユニオン島に行ったのは2022年のこと。 この島がマダガスカル島に並ぶバニラの生産地だということは、恥ずかしながら行ってから知りました。 レユニオン島は、島だけど、地中海や太平洋のリゾート地とはちょっと違います。 マグマの塊が残っていて、地球の息づかいが直で聴こえ

          恋愛バニラ香水 わたしの“一軍”香水、精鋭たち③

          わたしの“一軍”香水、精鋭たち②

          手持ちの香水、8本のうち、今日はシャネルの「31 rue Cambon(リュ カンボン)」をご紹介。 実はこれ、「手持ち」であって「愛用」ではありません。 もっと正確に言うと、「格上すぎて未だにまとえない」のです。 もちろん大好きな香りなので、いつか、とは思っています。 しかし自分がこの香りに見合うようになるには、少なくともあと10年は経験を積まないとならない気がします。 ぬるま湯生活では、香水から怒られてしまいそう。 「出直してきなさい」 まとう人を選ぶとは、「31

          わたしの“一軍”香水、精鋭たち②

          わたしの“一軍”香水、精鋭たち①

          メイクして、髪をセットして、服を着て。 最後の仕上げに、香りをまとう。 出かける前のルーティーンは、高校を卒業した18歳の春からずっと続いています。あれから○○年、マダムになりフランスに住まいを移した香水オタクのわたしは、日本にいた頃とはまったく異なる香りをまとうようになりました……。 手持ちの香水は、合計で8個。 それぞれ、性格も香り立ちもブランドも違う、わたしにとっての精鋭たちです。 まずは一番まとう回数の多い、「ジプシー ウォーター(GYPSY WATER)」を。

          わたしの“一軍”香水、精鋭たち①

          パリの老舗香水メゾン『キャロン』でパフパフ

          1904年創業の『キャロン(CARON)』。調香師エルネスト・ダルトロフが手がけた、パリの老舗香水メゾンです。 以前は「フレンチマダムの香り」、つまりちょっとクラシックな(シャネル5番のような)位置づけだったのですが、2021年には今の時代に合わせた大胆なリニューアルを敢行しました。 香水ボトルも当然、新しくなりました。 わたしはどちらのボトルも好きです。むしろ新しい方が丸みがあってキャロンらしいと思います。 けれど、ひとつだけ。 とても残念なことが……。 大幅なリ

          パリの老舗香水メゾン『キャロン』でパフパフ

          アートギャラリーも兼ねる、ディプティックの新「アパルトマン風ブティック」

          香水メゾンのディプティック(Diptyque)が、パリ1区に「アパルトマン風ブティック」をオープンさせたというので、行ってみた。 なんでもここは、ブティックとアートギャラリーの中間に位置するお店だという。 店舗面積は400㎡、パリのリュクスなアパルトマンを彷彿とさせる贅沢な造りだ。 店内は、リビング、キッチン、バスルームという風に区切られていて、各所に香水やキャンドルがずらりと並んでいる。 パリ発祥のディプティックだが、数ある店舗のなかでもこちらがいちばん広い。 ま

          アートギャラリーも兼ねる、ディプティックの新「アパルトマン風ブティック」

          一杯のカフェ、たまに香るワインと余韻①

          わたしはよく、パリを散歩する。 散歩といっても軽い散歩ではなく、本気の散歩。 どのくらいかというと、シャンゼリゼ通りからメトロ一番線のSaint-Paulまで、もしくは左岸のモンパルナスから右岸のサン・ラザールまでの距離だ。 おそらく9駅分くらいだろうか。 ただ、これだけ歩いていると喉が渇く。お手洗いにも行きたくなる。そこでよく利用するのが、パリのカフェなのだ。 最近のパリでは、コーヒーショップがあちこちにできている。ニューヨークや、東京にあるようなコーヒーショップ

          一杯のカフェ、たまに香るワインと余韻①

          名前が秀逸だと思う香水③

          フランスがロックダウン明けで、混沌としていたときのこと。 ふらりと入ったパリのブティック『セルジュ ルタンス』で、「これは」と思う香水があった。 その名は、「ラ ドントゥーズ アンカジェ(La Domptese encagée)」。 日本語に訳すと「檻の中の調教師」となる。 本来なら檻に入れられた動物を扱うはずの調教師が、逆に檻に入れられてしまった・・・というわけだ。 一体、どういうこと?  そんな疑問が浮かぶと同時に、わたしは「ああ、セルジュルタンスらしいな」と

          名前が秀逸だと思う香水③

          パリのロマンチック美術館がロマンチックな理由

          今日は「香り」ではなく、わたしが愛する「ロマンチック美術館」(パリ9区)について、書きたいと思う。 この場所、正式名称は「ロマン主義博物館(Musée de la Vie romantique)」という。 「ロマン主義博物館(Musée de la Vie romantique)」はもともと、オランダに生まれフランスで活躍した画家、アリ・シェフェール(Ary Scheffer)のアトリエ兼自宅だった。 それを遺族がパリ市に寄贈したため、市営の「邸宅美術館」となった。

          パリのロマンチック美術館がロマンチックな理由