北ドイツの真珠 ツェレ訪問記
ガイドブックには載って入るけれど、知名度は日本ではそれほど高くはない、そんな町や小都市が、ドイツにはいくつかあります。その代表がツェレ(Celle)でしょう。
ツェレは木組みの街です。どこを向いても木組みの家々です。「木組みの家」という表現は、より正確には「木骨(もっこつ)造りの家」と言うそうです。でも木骨造りの知名度は低いですね。
でも木組みに軍配が上がる理由の一つに、「ドイツ木組みの家街道」というキャッチコピーがあるのです。その街道沿いの代表的な町「ツェレ」をレポートします。
まず見出しの写真ですが、ツェレ城(Schloss Celle)です。12世紀より前に砦として存在していたものを13世紀に改築して宮殿にしたのが始まりだそうです。現在の城の大部分は、16世紀にルネッサンス様式で建設されたもので、それ以降リューネブルクの領主であったツェレ大公のための城となりました。
お城の周囲をゆっくり散歩をしたり、旅の疲れを癒すためにベンチで休憩したりできます。
旧市街の街並みは、第2次世界大戦の戦災を受けなかったため、約500軒の木骨造りの家が軒を連ねます。一軒一軒が独自の色合いとデザインを見せて、街歩きをするだけで嬉しくなります。これだけ木骨造りが並ぶと圧倒されてしまいます。
多くの家では、1階と2階の間に文字が並んでいて年号が含まれているので、その家が建設された年代がわかります。多くは16世紀になっていて、おそらくその後修復やメインテナンスを繰り返してきて現在の姿になっています。
それも多くの家は3〜6階建てになっています。床面積にするとかなり広いことになりますね。
日本で戦国時代や江戸時代に建てれたら建物がどのくらい残っているでしょうか。木造が主流の日本では火災や地震があるから、あまり残っていないのでしょうか。
上の階の方が張り出ていて、床面積を広くしようという構造の家もかなりあります。
一つ一つの家がデザイン、色合いなどで自己主張しつつ、周囲と調和しているこの街並みは、ずっと残していきたいものです。
おそらく住民の方々は伝統的に、連帯感や責任感を持って街並みの維持に取り組んできたのでしょう。例えばひとたび火事が発生すると、密集しているのでかなり被害が出てしまいますから、防火の意識や対策は十分取られていると思います。
ふと思ったのですが、同じドイツでもローテンブルクは、日本人対象のツアーのコースにはかなり組み入れられていますが、このツェレはほとんど入っていないのではないでしょうか。地理的なことなのでしょうか、不思議な気がします。
日本の江戸時代は、火事が発生したら延焼をさせないことに主眼が置かれていました。このツェレではどんな消化体制、防火対策が取られているのか興味があるところです。
ドイツでは地震の心配はないわけですから、街並みを維持するには火災対策が重要になりますね。
江戸では、2階では火を使わない、といったきめ細かい防火のルールがあったと聞いています。この木骨造りの家は火に強いのか弱いのかわかりませんが、500年も前から存在する建物を維持してきたわけですから、そのノウハウは伝承されているはずです。
でも住民にとっては不便な面もあるのでしょうね。でもそれも当たり前のことと捉えているのだと思います。
ツェレへは、ハノーバー駅から列車で20分程度、ハンブルクからは約1時間で行くことができます。ツェレ駅から中心部へは徒歩15分程度です。わかりやすいです。